【連載】政策起業家とは何者か(8)

前回の記事から続いて、政策起業とロビイングの違いについて説明します。政策起業とロビイングの違いは出発点が「公益」かどうかだと書きましたが、「公益」を定義することが非常に難しいです。「公益からスタートするロビイストもいるので、政策起業家はロビイストの類型派生系ではないか」というようなご指摘も頂きます。(三井 俊介・NPO法人SET理事長)

そもそもロビイングについても様々な解釈があり、日本ではダーティーなイメージが強いように感じます。まずはロビイングについての歴史を少しずつ紐解いてみたいと思います。

「ロビイング」の起源は19世紀末にまで遡り、南北戦争の将軍として活躍し、米国大統領になったユリシーズ・S・グラント大統領の時代に本格化しました。当時のホワイトハウスが火災にあったため大統領はホテル住まいを余儀なくされましたが、その時にホテルのロビーに陳情のために待ち構えている活動家(主に利益を求める団体の代表)があまりに多いことに辟易しました。そうしたことから「ロビイング」がお決まりの表現となったとされています。

初期のロビイングは、「旧ロビー活動」と定義され、自らの利益を守るため、あるいは拡大させるために政策決定者に働きかけることでした。これらは「特定の法案ないし法律に関して、その法案や法律に関わる議員や行政府の職員らに直接訴えかける」ことから「直接ロビー活動」とも呼ばれています。

その結果「旧ロビー活動(直接ロビー活動)」のイメージとして定着したのが、「不公平」「不透明」「閉鎖的」「意思決定の場に一握りの人間しか関与できない」「マスコミを避ける」「公益性がない」「一企業の利益や便宜獲得を目的とする」「ロビー対象は政府、政治家」というものでした。

皆さんが「ロビイング」と聞いてイメージするのは上記のようなののではないでしょうか?

しかし、これらの一企業や団体の「私益だけ」を求めるロビイングは1980年〜1990年に大きな批判を浴びるようになります。そうした反省から、「新ロビー活動」が登場してきました。

次回は「新ロビー活動」について整理していきたいと思います。