記事のポイント
- 武田薬品工業は「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」を立ち上げた
- 発達障がいなど「個性の違い」を認め合い、全ての人が働きやすい社会に
- 花王や野村HDなど11の企業・団体が参画、認知向上や取り組みを支援
武田薬品工業は13日、「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」を発表した。発達障がいやADHD、自閉症などを抱える人たちが働きやすい環境を整えることで、全ての人にとって心理的安全性と生産性の高い職場環境の構築を推進する。公式サイトで理解促進に努めるとともに、ニューロダイバーシティ実践への啓発冊子の配布などを行う。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

「ニューロダイバーシティ」は発達障がいなど、脳や神経の違いを優劣ではなく、多様な個性を尊重し合う考え方だ。
「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」プロジェクトを通して、意識や行動の変容を目指す。公式サイトを通じての理解促進や啓発冊子のデジタル配布、また今年度中の意識調査の実施や賛同企業とのワークショップを予定する。
武田薬品工業では「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」を重点的に取り組む疾患的領域のひとつとして挙げる。また5万人の従業員が在籍し、D&Iにも積極的に取り組む。ジャパンファーマビジネスユニットプレシデントの古田未来乃氏は「心理的安全性の高さはひとりひとりの生産性向上にもつながる」と話す。
経済産業省でも昨年度よりニューロダイバーシティに関する事業を実施する。昨年度は先進事例の調査や企業が取り組んでいく方法の構築などを行った。今年度はパイロット企業が発達障がいなどを抱える人、抱えていない人がチームを組んで仕事する実証研究を行う。またニューロダイバーシティの普及活動を行う。
経済産業政策局経済社会政策室の川村美穂室長は「実践する企業ではすべての社員の心理的安全性が高まり、生産性向上につながっていた」と指摘する。「課題があれば解決し、ニューロダイバーシティの実現を後押ししたい」と意欲を示した。
プロジェクトには花王や野村ホールディングスなど日本橋にゆかりのある企業など、11の企業・団体が賛同した。