「みんなで一緒に行くと、大きくて力強いノイズが出るよ。素早いノイズだよ」
子どもたちは耳を澄ましながら、階段を上り下りする。体重や歩く速度など、そのときどきで足音は異なる。目に見えない音の世界もまた、多様性に満ちている。その発見の感動を言葉で、あるいは音の感触を絵にあらわすことで、子どもたちは音の体験の豊かさを共有し合う。
「驚くべき学びの世界展」で紹介された、教育プログラムの一コマだ。東京・外苑前のワタリウム美術館で開催中の本展は、世界でもっとも優れた教育といわれる、イタリアのレッジョ・エミリア市での美術教育を紹介する企画。数々の先進的な取り組みには目を見張らせられるが、特に感心させられたのが環境に潜む音についての教育事例である。
サウンド・エデュケーションとは、音に注意を払うことで、環境の豊かさに気づかせてくれる手法。日本ではまだ珍しいこの手法と出会える良い機会でもあるのが本展だ。(アライ=ヒロユキ)
ワタリウム美術館「驚くべき学びの世界展」
http://www.watarium.co.jp/exhibition/index.html
7月31日(日)まで
11時より19時まで[毎週水曜日は21時まで延長]
休館日 月曜日[7/18は開館]
入場料:大人1,000円 学生800円(25歳以下)
Tel.03-3402-3001