
9月11日から東京・霞が関の経済産業省前で脱原発を求めて10日間のハンガーストライキを行っていた若者4人が、終了日の21日夕方、衆議院議員会館で記者会見を行った。若者の一人の岡本直也さん(20)は「東京電力福島第一原発事故は福島の人々にものすごい悪影響を及ぼした。そして、これから原発事故の悪影響を受けるのは自分たち若者や子供たち。本気で原発問題を考えているという思いを、全身全霊でぶつけた」と語った。
■岡本さん「対話の場つくりたい」
岡本さんは東京出身だが、現在は中国電力上関原発計画で揺れる山口県上関町祝島に住み、農漁業を手伝う。
そうした岡本さんにとって上関原発問題は「原発をめぐって、上関町では住民が賛成か反対かで二分され、双方の間で30年間対話がなかった。原発誘致でお金は入ってくるが、人同士のつながりが分断されて産業が育たない」と映る。
ハンストはツイッター等を通じて注目を集め、経産省前のハンスト現場には連日、若い人から年配者までが足を運んだという。
「対話できる状況をつくれたら、原発以外の道を探せたのではないか」。祝島で原発問題に直面する岡本さんにとって、今回のハンストは大事な対話の場。「多くの人が訪れてくれたことで、ハンストした意味があった」と振り返る。
■米原さん「家系ラーメン食べたい」
岡本さんのハンストは、今年2月に上関原発工事の停止を呼びかけて山口県庁前で行ったのに続いて2度目。米原幹太さん(21)は山口県庁前と今回、岡本さんとともにハンストに臨んだ。
「ハンストを通じて原発問題に関心を持ってくれたら。すぐに変わるかどうかよりも、若い人の意識の変化に興味がある。肩書きや立場を離れて、本音の話し合いで作られる人同士のつながりが大事」。米原さんは言葉を選びながら、ハンストの手応えを語った。
ハンストが終了する午後5時を4人は笑顔で迎えた。米原さんは「横浜の家系ラーメンが食べたい」と若者らしさをのぞかせた。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年9月22日