原発周辺、ヨウ素剤常備を検討―原子力安全委

福島第1原発事故では、政府のヨウ素剤服用指示の遅れが問題となった

原発事故発生時の被ばく対策見直しを検討している内閣府原子力安全委員会の分科会は12日、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を、原発から半径30キロ圏内の各家庭に事前配布することが有効とする提言案を示した。

現状は多くの地元自治体が保健所などに備蓄し、事故後に住民へ配布する仕組みだが、東京電力福島第1原発事故では機能しなかった反省を踏まえた。

安定ヨウ素剤とは原発事故などで放出される放射性ヨウ素による内部被ばくを防ぐ医薬品だが、「劇薬」に指定されている。提言案では薬事法などの改正も検討すべきだとしている。

ただし政府はこれまで原発の安全性を標榜。こうした薬を常備するのは矛盾した対応であり、原発周辺住民の不安も増やしかねない。この案は、今後新たな議論を生みそうだ。(オルタナ編集部=石井孝明)

原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会
被ばく医療分科会第29回会合資料

 

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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