
ユアサ商事(東京・中央)は、2月29日から3月2日まで東京ビッグサイトで開催された「エコハウス&エコビルディングEXPO」に出展した。
磁石で着脱するソーラーパネル設置工法を紹介し、産業用太陽光発電システムへの導入を提案した。
この展示会は次世代エネルギーの総合展「スマートエネルギーWeek 2012」の一環。同社は、前年の「新エネルギーWeek 2011」で、屋根の防水を専門とする栄住産業(福岡市)と共同開発したマグネット式ソーラーパネル設置工法を発表。9月から「マグモレン」として発売した。
マグモレンは、磁石を使うことで屋根に穴を開けず、従来工法の弱点である雨漏りを回避した。耐久性能に実績のある栄住産業の金属屋根と組み合わせて販売している。また、着磁補強板にフェライト磁石をくっつけることで、突風や大地震に耐え得る約1トンの引っ張り強度を確保している。
展示会では、折半(せっぱん)屋根への取り付けをデモンストレーションした。従来工法ではパネルの設置は屋根と平行の向きに限定されるが、磁石なら屋根に対して斜めの設置も可能。工場や倉庫などは南向きとは限らないため、向きが自由になるメリットは大きい。発電量が増えて初期コスト回収が早まることも期待できる。
他に、壁に設置できる軽いシート状のソーラーパネルを屋根に磁石で取り付けておいて、雪が積もる冬の間だけ壁に移設する案も示した。また、その取り外しやすさが認められて災害救助型しゅんせつ船に採用されたことも紹介した。
2011年末に大本組と青木組が完成させた「ビッグブルー」は、港湾などで海底の土砂などを取り除く作業船だが、非常時には災害救助や陸路が断たれた被災地の復興支援を想定している。磁石で設置された3キロワットのパネルは外して陸に運び、避難所などで活用できる。
ユアサ商事は1666年に京都で創業。2009年の会社設立90周年を機に、事業を通じた環境貢献活動を本格化した。「産業とくらし」に関する専門商社グループとして、省エネ商品群の提案に力を入れている。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)