「フクシマは警告する」――ドイツの反原発デモ5万人参加

ハノーバーでの反原発デモ

福島原子力発電の事故から1年たった3月11日。「フクシマは警告する。原発をすぐ停止せよ」をモットーに、ドイツ各地で反原発デモが開かれ、合わせて5万人が参加した。

フランスやベルギー、ルクセンブルク、スイス、ポーランドで反原発運動が起こり、福島での犠牲者を追悼するとともに、脱原発を訴えた。フランスだけで6万人が参加し、原発推進国でも反原発の気運が高まっている。

北ドイツのニーダーザクセン州の首都ハノーバーでは、7000人がオペラ広場に集まった。ハノーバーは広島市と姉妹提携しており、定期的に交流がある。福島で事故がおこったさい、広島に原爆が投下されたことを思い出した人も少なくない。

ハノーバーから南西50キロのところにグローンデ原発があるため、事故が起こったらひとごとではない。福島での犠牲者を想って黙祷し、原発の即停止を求めて気勢を上げた。

中・低レベル放射性廃棄物が保管されている貯蔵所アッセと、新貯蔵地として工事が進むコンラードでは、75キロにわたってろうそくの光を灯す「光の鎖」アクションに2万4000人が参加した。

ブロックドルフ原発やグルンドレミンゲン原発、ネッカーヴェストハイム原発をはじめ、濃縮ウラン施設のグロナウでも原発の即停止を求めた。

ドイツは2000年の社会民主党と緑の党の連立政権で2022年の脱原発を決定していたが、2010年秋アンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟)が各基8年から14年の稼動延長を決定した。

しかし昨年の福島原発の事故を受け方向転換。再び2022年の脱原発を決めた。福島の事故が、脱原発への国民総意を確実にしたといわれる。

ちなみに最終処分場の候補地であるゴアレーベン、岩塩ドーム崩落が危惧されるアッセ、元鉄鉱石坑道を利用し中・低レベル放射性廃棄物の貯蔵地として工事が進むコンラードともニーダーザクセン州に位置する。

北ドイツはもともと海だったことから地中に岩塩が埋まっており、そこに核廃棄物を埋めようというものだが、安全性について議論が続いている。(独ハノーバー=田口理穂)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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