夏の電力需要期を前に節電対策への関心が高まる中、大手ゼネコンの鹿島は26日、電力ピーク時に自動で建物内の電力消費を抑制して節電を実現する「鹿島スマート電力マネジメントシステム」を開発し、3月から自社の鹿島赤坂別館(延べ床面積3万3千平米)で運用を始めたと発表した。需要者側で、節電制御を全自動で行うシステムの既存建物への導入事例としては、今回が国内初だ。
■建物の電力消費を自動でピークカット
一般に、夏の電力ピークは午後2時をはさんだ数時間とされる。同システムでは外部サーバから天気予報、気温などの情報を取り込み、指定した任意の節電時間帯や節電量に応じて、空調や照明などを自動で最適環境に制御。これにより、同システムは日中の電力ピーク時に20%以上の節電を実現する。
また、節電制御を電力ピーク時のみ行う「デマンドレスポンスモード」、もしくは年間を通じて行う「省エネ節電モード」のどちらかに切り替えることもできる。
昨年の東日本大震災では太平洋岸の発電所が軒並み被災して停止。政府による電力使用制限令も発動される中、企業は照明の削減や土日操業などの節電対応に追われた。鹿島では節電へのニーズの高まりを受け、震災後に社内チームを発足。昨夏に実施した節電の度合いと快適性に関するアンケート調査の結果などを踏まえて、今回のシステムを開発した。
■既存建物も「最大3か月で導入可能」
今回、鹿島赤坂別館への導入に要した費用は約1千万円。同社の担当者は「節電に要する人件費の削減や節電効果などにより、約2年半で回収できる」と話す。
同システムは他の既存建物でも、最長3か月以内で導入が可能という。同社では今後実証データを蓄積し、同社の本社ビルや他社の建物などにも展開する考えだ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年4月27日