需給計画開示や住民参加の安全対策を――再稼働などめぐり専門家ら提案

(左)植田和弘・京大教授(右)嘉田由紀子・滋賀県知事 ※録画映像より引用

国内の原発が42年ぶりに全停止する中、これまで原発の依存度が高かった関西電力では、夏の電力需要期を前に「電気が足りなくなる」として大飯原発3・4号機の再稼働を求めている。ところが国や関電は、安全対策の徹底や限られた電力をやりくりする見通しの立案には消極的だ。7日夕に都内で開かれた勉強会では、専門家や自治体首長らが国や関電の「再稼働ありき」の姿勢に疑問を投げかけた。

■植田教授「関電は需給計画示せ」

勉強会は国会議員や専門家、市民らでつくる「エネシフジャパン」が主催。この中で、政府の需給検証委員で大阪府市エネルギー戦略会議座長を務める京都大学の植田和弘教授は「電力需給にギャップがある場合は、供給を増やして需要を減らすことが必要。ところが関電は今もオール電化住宅を推進している。関電は需給計画を示し、それを検証する必要がある」と語り、約15%の電力不足を唱えながらいまだに需給計画を示さない関電の姿勢を批判した。

また、植田教授は節電の意義について「需要を減らして供給に回す電力を増やすこと」だと唱え、西日本一帯で節電に取り組むべきとの考えを示した。さらに大阪府市の節電計画についても「業務部門で4割の節電を達成した東京が標準となる」として、照明や空調などによる節電の余地が大きいことを示唆した。

■嘉田知事「ピーク時節電が得になる制度を」

「卒原発」を提唱する滋賀県の嘉田由紀子知事は、原発事故時に放射性物質が琵琶湖に拡散すれば「対策はお手上げ。関西の人に(1450万人の飲料水を供給する)琵琶湖の水を信頼してもらえなくなることが怖い」と語り、原発の安全対策に地元住民が参加できる仕組みを作るべきとの考えを示した。

また、関西での節電対策については「ピーク時に節電すると得になるような仕組みが必要だ」として、「差額料金制度」などの導入を提案した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年5月8日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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