「森を創る」C.W.ニコル氏、「森を使う」オークヴィレッジの稲本正代表、「森を食べる」成澤由浩シェフの3人が、6月29日に「『緑の国』スペシャルメッセージ 世界に向けて生まれ変わろう!日本。~森と海をつなぎ、未来へ~」をテーマに対談した。
森の恵みと共に仕事をしてきた3人は、「きれいな空気・きれいな水、そして安全な食べ物を保証する」森の大切さを訴え、国際森林年だった2011年に共同宣言を発表。東日本大震災の発生を受けて、森林資源を生かして日本を復興する「緑の国プロジェクト」を発足した。
ニコル氏は28年前から手入れしてきた黒姫(長野県)の「アファンの森」に被災者を招き、心を癒やす森の力を復興の一助にしようとしている。
学校が高台に新築される宮城県東松島市では「森の学校プロジェクト」を発足。近代的な合板は鉄筋コンクリート以上に地震や火事に強いことを示し、子どもたちの校舎を木で建てるよう働きかけている。
稲本氏は、飛騨高山(岐阜県)で家具工房を運営し、クロモジなど国産材からアロマオイルを抽出している。震災後は避難所でアロママッサージを実施した。
また、NPO「ドングリの会」の会長として、東北でスギやヒノキの人工林が使われた後に広葉樹を植える計画を推進。植樹に備えて、東北で集めた計5万個の木の実を、東京都三鷹市の国際基督教大学内の苗床で育てている。
成澤氏は、レストラン「NARISAWA」(東京・南青山)で、木の粉でできたパンや土のスープを提供している。大船渡(岩手県)の漁師との対話を振り返り、「ヘドロが津波で流された海は、かえって元気になったという。流されたのは人工物ばかりで、自然はしたたかだ」と語った。
緑の国プロジェクトに参画しているカキ養殖家の畠山重篤氏は気仙沼で被災した。NPO「森は海の恋人」の理事長も務める畠山氏は、ビデオメッセージを寄せた。
その中で「高速道路や新幹線といった横のつながりよりも、これからは、森と川と海という縦の関係を重視してほしい。その形さえ整えば日本は大丈夫」と語り、森と海の関係性を強調した。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)