記事のポイント
- DXコンサルが飲食店メニューのCO2排出量可視化プロジェクトを開始した
- 生産から調理段階のCO2 排出量を計測し、非配慮型メニューと比較する
- CO2排出量を意識して食生活を選択する「クライマタリアン」の普及を目指す
DXコンサルティングを行うメトリカ(東京・渋谷)と「食」から気候変動にアプローチするQuisine(キュイジーン、東京・目黒)はこのほど、飲食店メニューのCO2排出量可視化プロジェクトを東京・渋谷で開始した。生産から調理段階までのCO2 排出量を表示し、より環境負荷が少ないメニューの消費を促すのが目的だ。CO2排出量を意識して食生活を選択する「クライマタリアン」の普及を目指す。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

メトリカとキュイジーンは、飲食店メニューのCO2排出量可視化プロジェクトの実証実験を始めた。
第一弾として、植物性の食材のみを使用する「ヴィーガン居酒屋真さか」のランチメニューにCO2排出量を表示した。生産から調理段階までに排出された温室効果ガスをCO2排出量として換算し、算出する。
例えば、「ヴィーガン居酒屋真さか」のプラントベース唐揚げランチ定食を選んだ場合、鶏肉を使用した唐揚げ定食と比べて、CO2 排出量が20.2%削減できる。メニューには、「CO2 -20.2%」と表示される。
非ヴィーガンメニューだった場合と比較して、どの程度CO2 排出量を削減できるかを見える化し、環境負荷が低いメニューの選択意欲を向上する狙いだ。
同プロジェクトは、渋谷区の実証実験事業として12月31日まで実施される。
近年では、「クライマタリアン」という言葉が欧州や米国を中心に広がってきた。日本でこの言葉を広めようとしているのが、キュイジーンだ。
クライマタリアンは、「気候」を意味する「climate」と「ベジタリアン」など食習慣を意味する言葉の合成語で、GHG排出量が少ない食品を選んで食べる人をいう。
2015年に米国の大手新聞「ニュースタイムズ紙」に掲載されたのが始まりだ。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の食糧システムにおけるGHG排出量は、人為的なGHG排出量の31%を占めるという(2019年時点)。
海外ではすでに、GHG排出量の少ない食材やメニューを教えてくれるアプリが登場した。
クライマタリアンであるキュイジーンのMayu(マユ)さんは、「『月曜日だけ肉を食べないでおこう』『外食時のみGHG排出量の少ないものを食べよう』といったように自分に合った実践をしてほしい。コミュニケーションを取りやすい食事の時間をきっかけに、気候変動に向けたアクションを日本に広げていきたい」と話した。