2025年5月19 日から22日まで、京都に世界50カ国以上からインパクト投資推進の各国エコシステムのリーダーが集まる国際会議が開かれていた。ホスト国側として運営に関わっていたので感じたことをお伝えしたい。(特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)
経済的リターンと社会的リターンを両立する投資がインパクト投資だが、今、なぜこの投資が伸びているのだろうか。日本でも、17年に300億円強だった投資残高が24年には17兆円を超える規模に急成長してきた。
同様の現象は世界各国で生まれている。当初は金融機関主導で始まった流れだが、近年では、事業会社や行政、NPOにも主体的にこの流れを生かす動きが増えてきた。
ビジネスが利益だけを追求する状況が、気候変動を悪化させ、貧富の格差を生み、人と社会と地球を不幸にするかもしれない。その懸念からこれまでも、CSR、CSV、SDGs、ESG、サーキュラーエコノミーといった様々な価値概念が提唱され、広がってきた。この流れの中での「インパクト」という考え方自体がもたらすものにはどのような時代的価値があるのだろうか。
各国の主導者たちとの議論の中で、感じることは、次の3つである。第一に、ミクロレベルでは企業の価値創造の能力をポジティブに引き出して課題解決をすることができるということである。
社会課題解決に貢献する「インパクト」を創出することが可視化されることで、企業への期待値が高まり、企業の成長が促進される。従業員の活力が生まれ、企業価値全体が向上する。この点は「配慮型」といわれるESGとの大きな違いだ。
負の側面をあえて生かせ