記事のポイント
- 大阪公立大学大学院経営学研究科は2025年4月にCSV経営研究プログラムを開始した
- 社会人を主な対象として学術知を身につけて現場で実践する人材を育てる
- 小林哲教授は「解がない問題に取り組める創造力を養成していきたい」と話した
大阪公立大学は2025年4月から大学院経営学研究科でCSV経営研究プログラムを開始した。プログラムでは社会人を主な対象として、CSV経営についての学術知を身につけて、現場で実践できる人材を育てていく。教鞭をとる小林哲教授は「解がない問題に取り組める創造力を養成していきたい」と話した。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)
大阪公立大学のCSV経営研究プログラムは2025年度から大学院経営学研究科のプログラムとして博士前期課程の院生を受け入れて活動を本格化した。同プログラムは、人文科学・社会科学出身の大学院人材の拡大をめざす文科省の令和5年度「人文・社会科学ネットワーク型大学院構築事業」にて採択されている。
プログラムでは、CSV経営にまつわるアカデミック・リテラシーを体系的に学び身につけることを目指し、そこでの研究や学びを修了後に現場で活用していく人材の輩出を目指す。
プログラムでのカリキュラムとして、自分や組織での課題を学術的な知識や方法を用いて分析・考察・実行する能力を習得するアカデミック・リテラシー科目群と、組織運営を分析・考察・実行する能力を取得するマネジメント・リテラシー科目群を用意する。
さらにCSV経営に関するテーマを研究する演習科目群は、経済的価値をもたらす3つの戦略(顧客戦略・資源戦略・収益戦略)と、社会的価値の3つのタイプ(ウェルビーイング・社会共生・自然共生)のマトリックスでタイプ分けした9つの領域を踏まえて展開する。
CSV経営は社会的価値と経済的価値の同時達成を目指す経営理念・経営行動だが、それを実践するハードルは高い。
教鞭をとる小林哲教授は「『解』が見つかっていないからこそ、その社会課題はある。こうした課題に取り組んでいくために重要なのは『創造力』であり、本プログラムでは学術と現場の融合を進めることでその創造力を高めていく」と話す。
CSV経営研究プログラムでは修了後のサポートも充実させる。今後、修了生などが参加する「アルムナイコミュニティ」を組織し、修了後の現場でのサポートを行っていく。プログラムを実施するCSV経営研究会ではCSVに関係するセミナーなどを積極的に開催しており、こうした場を通じて最新の研究成果や知見を発信する。
現在、2026年度春入学生の募集を行っている。小林教授は「大事なのは学んだことを修了後に実践していくことだ。そのためのサポートもしっかりと用意する。CSV経営に果敢に取り組みたいという志を持つ人はぜひ門をたたいてほしい」と呼びかける。
CSV経営を志す人たちの「梁山泊」となっていきそうだ。



