ネスレ日本はなぜ自社の事業ノウハウを中高生に伝えるのか

サステナX

記事のポイント


  1. ネスレ日本は自社の事業ノウハウを映像化し、中高生に無償で提供する
  2. 同社は2023年5月からこの取り組みを始め、600校5万人が利用した
  3. なぜ同社は自社のノウハウを中高生に伝え続けるのか

ネスレ日本は同社の事業ノウハウを映像でまとめた学習教材を中高生向けに無償で提供している。同社は2023年5月からこの取り組みを始め、600校5万人が「探究学習」の教材として利用した。なぜ同社は自社が培った知見を中高生に無償で伝えるのか。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

探究学習教材「ネスレ サステナビリティ プログラム」で課題発見力や解決力、協働力などを学ぶ

ネスレ日本が開発した教材の名称は、「ネスレ サステナビリティ プログラム」。ネスレの社会課題に対する取り組みについて、中学生、高校生向けに映像を通して紹介する。論理的思考力や問題解決力を身に着けるための「探究学習」のオンライン教材として全国の学校が利用する。

同教材では、「ネスカフェ」や「キットカット」など、CSV視点で成り立つブランドを事例とした。「課題を見つける」視点を養い、生徒自身に課題の設定まで求めた。

全国600校5万人がこの教材で社会課題の見つけ方や解決方法を学んだ。ネスレ日本は昨年末、この教材を通して、より良い探究活動や社会課題の解決に取り組んだ学校を「ベストプラクティス大賞」として表彰した。

表彰式は昨年末、ネスレ日本の神戸本社で開き、大賞・特別賞の4校の教員と生徒、計13人が参加した。

第1回ベストプラクティス大賞に輝いたのは、佐賀県立佐賀東高等学校、 兵庫県立大学附属中学校、学校法人安田学園 安田女子中学校(広島県)の3校だった。加えて、ベストプラクティス特別賞として、沖縄県立北部農林高等学校が選ばれた。同校は、地域の農業課題の解決に向けて、独自の探究を行った。

将来世代こそ気候変動の影響を大きく受ける

表彰式にはネスレ日本の深谷龍彦社長が登壇した。深谷社長は、「皆さんの取り組みが地域や社会を変える原動力となることを期待している」とエールを送った。

ネスレ日本が中高生に無償で自社のノウハウを伝える理由は、社会の持続可能性を確保するためだ。気候変動などの社会課題は10代の将来世代にも大きく影響を及ぼす。

地球の資源を枯渇することなく暮らすためにも、同教材を通じて、生徒たちに持続的な社会のあり方を教えている。社会課題の解決方法を学んだ生徒の中には、身近な課題を探し、その課題の解決に取り組む人もいるという。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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