記事のポイント
- COP30にて「ネイチャー・オン・ザ・バランスシート・セッション」が開催された
- 日本企業から王子ホールディングスと味の素の社長が登壇した
- 両社長は、ネイチャーポジティブ社会実現に向けた自然資本保全の重要性を強調した
2025年11月11日、ブラジル・ベレンでのCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)のジャパン・パビリオンで、「ネイチャー・オン・ザ・バランスシート・セッション」が開催された。日本企業からは、王子ホールディングスの磯野裕之社長と味の素の中村茂雄社長が登壇した。両社とも自社の事業活動を通じて自然資本と深い関わりを持つ。ネイチャーポジティブ社会実現に向けた自然資本保全の重要性を強調した。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

登壇者は左から石井氏、ノーブル氏、磯野氏、スザボ・ド・カーボロ氏、シュミッド・トローブ氏、中村氏
(写真提供)王子ホールディングス
■自然資本価値をどう財務諸表に反映させるか
当セッションは、東京大学グローバル・コモンズ・センター(CGC)が取り組んでいる「ネイチャー・オン・ザ・バランスシート・イニシアティブ (NBSI)」の取り組みを世界に発信するものだ。
グローバル・コモンズとは、人類の共有財産である安定的な地球システムであり、東京大学CGCは、国際研究機関と連携し、グローバル・コモンズを守るため社会・経済システム転換を目指している。
NBSIは、自然資本の価値評価の専門家と協働し、自然資本の価値が経済の意思決定に組み込まれ、企業のバランスシートに反映されるための、ロードマップの策定に取り組む。この活動を通じ、新たな国際ルールメイキングをし、現在の経済システムの改革を目指す。
東京大学CGCは、2025年9月に産学連携プラットフォーム「CGC-NBS協賛事業」を設立した。プラットフォームには、王子ホールディングス、住友林業、味の素、MS&ADホールディングスの4社が参画している。
「ネイチャー・オン・ザ・バランスシート・セッション」の参加者は、次の6人である。
・石井 菜穂子(東京大学 グローバル・コモンズ担当総長特使)
・磯野 裕之(王子ホールディングス代表取締役社長執行役員CEO)
・中村 茂雄(味の素取締役代表執行役社長最高経営責任者)
・イロナ スザボ ド カーバロ(ブラジルのシンクタンクのIgarapé Instituteプレジデント)
・カルロス ノーブル(サン・パウロ大学シニアサイエンテイスト)
・グイド シュミッド トローブ(コンサルティング企業のSYSTEMIQパートナー)
登壇した王子ホールディングスの磯野裕之社長、味の素の中村茂雄社長の発言要旨は、次の通りである。
■王子HDは「自然資本会計」制度の確立を目指す
■味の素は栄養・気候・自然の課題解決目指す

