「フロン対策怠れば事業リスクに」、普及団体が呼びかけ

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記事のポイント


  1. 冷媒フロン類の適正な管理を怠ると重大な事業リスクに直結する
  2. フロン類の適正な管理を促す団体JRECO(ジェレコ)が呼びかけた
  3. フロン類の漏えいは、TCFDが定めた「気候リスク」に該当する

フロン類の適正な管理を促す一般財団法人日本冷媒・環境保全機構(JRECO、東京・港)はこのほど開催された冷凍・空調・暖房機器産業の展示会「HVAC&R JAPAN2026(1月27日~30日)」にブースを出展した。ブースでは、「代替フロン(HFC)は貴重な資源です」というチラシを作成して、フロン類の適正な管理を呼びかけた。フロン類の漏えいは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が定めた「気候リスク」に該当する。(オルタナ編集部=萩原哲郎)

「HVAC&R JAPAN」は国内唯一の冷凍・空調・暖房機器産業の展示会だ。一般社団法人日本冷凍空調工業会(東京・港)が主催する。ダイキン工業や三菱電機などの国内大手メーカーに加えて、海外企業など224社がブースを出した。

企業向けにフロン類の適正な管理を促すJRECOは、ブースを出展し、冷媒管理システム「RaMS(ラムズ)」をアピールした。ラムズは、フロン排出抑制法に準拠したクラウド型の冷媒管理システムだ。閣議決定書などでも「RaMSの活用などの電子化に取り組むよう努める」と紹介されている。冷凍空調機器の点検記録や冷媒の充填・回収証明書を電子化し、管理者の業務負担を軽減することが特徴だ。

HFCの地球温暖化係数はCO21万倍に

フロン類はエアコンや冷蔵庫など様々な用途に使われているが、オゾン層の破壊や地球温暖化に及ぼす影響が大きいことが問題だった。が現在使われている

代替フロン(HFC:ハイドロフルオロカーボン)の地球温暖化係数はCO2を1とした場合に二酸化炭素の1万倍に及ぶ。

環境に深刻な影響を及ぼすHFCに、国際社会は規制を強化する。それが、2016年10 月にルワンダの首都キガリで採択した「キガリ改正」だ。特定フロン(CFC、HCFC)の製造を規制していたモントリオール議定書を改正し、HFCの生産規制に舵を切った。

キガリ改正は2019年1月1日に発効したが、先進国では、2036年に大きな節目を迎える。2036年にHFCの製造量を、2011~2013年の平均値と比べて85%削減を義務付けた。HFCはほぼ生産できなくなる。

例えば、エアコンの無い生活やスーパーマーケットやコンビニエンスストアで冷蔵・冷凍庫が使えなくなる可能性もある。

企業は、ノンフロン・地球温暖化係数が低い「グリーン冷媒」に切り替えるか、フロン類(CFC、HCFC、 HFC)が使われている製品の定期点検を行い、フロン類の漏洩防止に本格的に取り組むことが必要だ。フロン排出を抑制する適切な管理がフロン類機器管理者(所有者)に強いられることになる。

冷凍空調インフラにとっては「存亡の危機」を迎えているが、多くの企業がフロン対策には後ろ向きだ。

JRECOの山本隆幸担当部長は、HFCの製造規制が進むことで「将来的にフロンを確保することが難しくなる可能性がある」と指摘した。その上で、「そうなれば企業活動や国民生活に大きなダメージが出かねない。しっかりと管理して漏えいを防ぐことが重要だ」と語った。

JRECOの山本部長は来場者にフロン類の適正な管理を呼びかけた

出光興産漏えい箇所をUVライトで特定へ

展示会には大手空調メーカーや海外企業なども多く出展した。そのなかで注目を集めたのが、出光興産の冷媒漏えい検知用蛍光剤だ。エアコンなどには冷凍機油という専用のオイルが入っているが、機器の経年劣化で冷媒とともに漏れることがある。

出光興産の検知用蛍光剤を使えば漏えい箇所が青く発光した

同社の検知用蛍光剤を使えば、UVライトを照射することで漏えい箇所を特定することができる。

同社はこの蛍光剤により、冷媒漏えい量の削減に貢献していく。

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #フロン

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