総選挙公示、4党党首ら福島で第一声

福島県飯館村で演説する日本未来の党の嘉田由紀子代表

第46回衆院選が4日、公示された。民主、自民、未来、社民の4党党首らは福島県内で「第一声」を上げ、原発の是非や震災復興についてそれぞれの政策を訴えた。

日本未来の党の嘉田由紀子代表が街頭演説のスタート地点に選んだのは福島県飯舘村。原発から40キロメートル以上離れた自然豊かな土地に放射性物資が降り注いだが、多くの村民は高濃度の汚染を知らされないままとどまった。

1カ月後に計画的避難区域に指定されてから全村民約6000人が散り散りに避難し、今も不自由で先の見えない生活を続ける。原発事故の象徴的な村だ。会場の村公民館は福島市中心部から車で1時間余り。時折、冷たい風雨が吹き付ける悪天候だったが、100人ほどの報道陣が詰め掛け、注目の高さを示した。しかし、村そのものには人が住んでおらず、あえて動員もかけなかったため、一般有権者の姿はまばら。嘉田代表自身も予定時間を30分ほど過ぎてようやく駆けつけ、待ちわびた報道陣や有権者の前で街宣車を降りてマイクを握りしめた。

「飯舘のこの土地、この森。先祖代々耕してきたこの土地に、飯舘の人たちが再び戻れるよう、英知を結集して国政でがんばりたい」と切り出した嘉田代表は、「福島の事故後、原発を再開して経済発展をしようなど、国家としての品格がなく恥ずかしい」と、原発容認の他党を批判。「原子力ゼロの社会は決して後ろ向きではない。地産地消の経済、災害にも強い未来のエネルギー社会として、地域から社会を再建する」と訴えた。

次に移動した南相馬市では「(小沢一郎氏の)傀儡(かいらい)だという批判もあるが、一軒一軒、地元の声を聞いて回る小沢流政治が正しいと思っている」「独占体制にある電力会社を郵政のように民営化し、交付国債を発行して電気料金を上げずに原子力を止める」などと強調した。

民主党代表の野田佳彦首相はいわき市で「2030年代に原発ゼロを目指す」、自民の安倍晋三総裁は福島市で「原発はゼロが理想だが、選挙目当てにスローガンを掲げるつもりはない」、社民の福島瑞穂党首も会津若松市で第一声を上げ、石原慎太郎代表が率いる日本維新の会などを含めた激しい選挙戦に突入した。(オルタナ編集委員=関口威人)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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