チェルノブイリの教訓は「安全宣言を信じるな」――ロシア科学者が指摘

その上で事故の教訓として「当局の安全宣言を信用しない」「空気や水、食物を政府から独立してモニタリングする」「内部被ばくにおける放射性物質の核種を政府とは独自に調査する」の3点を指摘。「各個人の被ばく量は染色体や目の水晶体の混濁度などを検査して個別に調べるしかない。空間線量は地域ごとの指標でしかなく、個人が浴びた線量の指標にはならない」とも語った。

同書は統計データが充実する一方、調査方法の不備を指摘する声もある。邦訳書の監修に当たった専門家チームの一人、振津かつみ医師は会場で「ロシアやウクライナなど現場の医師からの報告が中心だが、専門家から見れば不満な点もある。チェルノブイリと福島との相違をめぐっては診断基準の違いもあるのでは」とコメントした。

一方、同書への「罹病率の上昇は、心理的に自分を追い込む『放射線恐怖症』によるものだ」との批判に対してヤブロコフ氏は「ロシアの事故周辺地域では、事故の前後で経済水準、社会保障、医療の水準は同じであり、変化したのは放射線による汚染のみ。しかし原子力関連の研究者らに罹病率が上がった理由の説明を何度求めても回答がない。汚染が強い地域ではカエルやツバメなど他の生物でも、人間と類似した放射線による障害が観察できるが、そうした生物に放射線恐怖症があるだろうか」と反論した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

チェルノブイリ被害実態レポート 翻訳プロジェクト

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2013年5月24日(金)13:52

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