都道計画の見直しをめぐり住民の意思を問う、都内では初めての直接請求による住民投票が26日、小平市で行われた。投票率は35.17%で、51010人が投票。成立要件となる投票率50%を下回ったため、開票されないこととなった。
市を南北に貫く形で計画されている「小平都市計画道路3・2・8号線」上には雑木林や国史跡の玉川上水が位置し、住民220戸も立ち退きを求められる。住民投票では計画に住民意思を反映させることが問われたが、投票率は成立要件の50%を大きく下回り、4月に行われた市長選挙時の投票率である37.28%にも届かなかった。
小林正則市長は26日夜、会見で「50%の成立要件に達しておらず、市民を代表した意見とはなっていないと認識している」と述べた。
■小平市議「住民自治に反する」
今回の住民投票は、市民団体「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」が直接請求を行い、3月に市議会で住民投票条例が成立。その後、市が成立要件として投票率が50%を超えることとする修正案を提出していた。
同団体に参加する小平市の橋本久雄市議は、結果について「成立要件となる投票率50%は厳しいと思っていた。市長選挙時の投票率をも下回る結果となったのは悔しい」と振り返る。その一方で「住民投票を通じて、ほとんどの市民が都道計画を知ることになった。マスコミでも盛んに報じられ、計画道路の東側に住む住民の中には今回初めてこの問題を知った人も多い」とも話した。
また、開票されないことについては「5万人が投じた民意を闇に葬ることだ」と批判。「小林市長は住民参加と情報公開を売りに当選したが、開票しないのはそのような公約に照らしてどうなのか。地域で暮している人の視点からすれば、国や都、市の施策に意見を表明するのは当然のことであり、住民自治に反する」と指摘した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)