「ハウス食品は労働契約法を守れ」。ハウス食品で店舗陳列などの業務を担い、9月末で雇い止めとなった契約社員で作る「派遣ユニオン・ハウス食品支部」が8日昼、同社東京本社前で雇い止めの撤回を訴えて抗議を行った。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
ハウス食品は「新しい営業体制の構築」を理由に契約社員89人を9月末で雇い止めにし、店舗フォロー業務を外部委託。受託したソフトブレーン・フィールド社(東京都千代田区)は、契約社員を1年間は従来と同じ条件で雇用するが、2年目以降は個人事業主扱いに切り替える。
「今までは『定年まで働ける』と言われ、それを前提に人生設計してきた。ところが外部委託先で個人事業主として働く人の月収は平均で約2万円。私たちの生活は破綻してしまう」
「契約社員には老親を抱える人、母子家庭の人もいる。生活を守るため、泣きながら仕方なく外部委託先に再就職した人もいる」
抗議に参加した契約社員の女性らは口々に窮状を訴えた。
店舗フォロー業務を23年続けてきた女性(53才)は「契約社員の月収は税込で約26万円、ボーナスも出た」と話す。「『ウコンの力』は食品売り場では売れないので酒類コーナーに陳列するなど、主婦目線で『売れる棚』を作ってきた。外部委託先では個人事業主に単発の仕事として店舗フォロー業務を依頼するので、今までのような売場作りはしにくくなる。上の人はこうした現場の実情を知らないのではないか」
派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「今年4月の労働契約法改正で、企業は5年を超える有期雇用労働者を無期契約に切り替えなければならなくなったが、ハウス食品は3月、いち早く契約社員の切り捨てに動いた。労働契約法第十九条に明らかに違反している」と指摘する。
契約社員の女性の一人は、ハウス食品への今の心情を吐露した。「ハウスが掲げる『おいしさとやすらぎを』のために一生懸命に働いてきたのに、自分の会社がブラック企業だったのかと思うと、情けなくて涙が出てくる」