現在は、内部告発も日常茶飯事、ステークホルダーの期待レベルが非常に高まっているのも事実である。しかし、10年前とは違い、今回謝罪しているような企業を含め、今や少なくともCSR の文字がウェブサイトにない大手企業はほとんどない状況下で、これは非常に残念なことである。
それぞれ、企業によって背景は違うだろう。だが、悪意がなかったとしても、「十分なコストをかけなかった」「組織的な理由によって、取り組みが進まなかった」「優先順位が低かった」「ルールがあるのに守られなかった」など、やはり「利益を優先するが故の無責任の結末」と言われても仕方がないだろう。
いずれも、第三者の目線を入れ、経営者が真剣になれば克服できないものはないのである。
CSV ブームに浮かれる前に、10 年前の原点に立ち戻り、CSR の基本であるネガティブ側面にきちんと取り組めているのかを問い直すタイミングが来ているのかもしれない。
(冨田 秀実/LRQAジャパン 経営企画・マーケティンググループ統括部長=この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」から転載しました)
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