編集長コラム) ウナギが本当に食べられなくなる日

今回、ニホンウナギはレッドリストで「絶滅危惧1B類」に指定された。絶滅危惧種の3区分のうち危険度で上から2番目だ。3区分とは「絶滅危惧ⅠA類」(CR=ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)、絶滅危惧ⅠB類(EN=近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)、絶滅危惧Ⅱ類 (VU=絶滅の危険が増大している種)を指す。

ちなみにホッキョクグマは、3区分のうち絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。地球温暖化による動植物被害の象徴であるホッキョクグマよりも、ニホンウナギの方が絶滅の危惧度は高いのだ。

こうした状況は、なぜ引き起こされたのだろうか。三重大学生物資源学部の勝川俊雄准教授は、昨年の「うな丼の未来」での講演で「うなぎのファーストフード化」を挙げた。

20年ほど前までは「鰻専門店に行って楽しむハレの日の外食」だったものが、大量輸入で価格が下がり、「温めてご飯に乗せるだけの、家庭での手抜きメニューになってしまった」と指摘する。

このころからスーパーでは安く売られ始めたほか、最近では大手牛丼チェーンが参入し、低価格のうな丼メニューを提供するようになった。勝川准教授は「持続可能性を無視したお手軽消費が、資源と食文化の衰退を招いた」と手厳しい。

日本は、世界のウナギの70-80%を消費している。その7割はスーパーやコンビニ弁当、外食チェーンなどの大規模流通が占める。私たちはニホンウナギを食べ尽くし、ヨーロッパウナギのシラスを中国で養鰻し、日本に輸入することで、消費量を増やしてきた。そのヨーロッパウナギは、一足先にレッドリスト入りしている。

勝川准教授は「ウナギ資源の枯渇は、漁業者、流通業者、消費者が単独で解決できる問題ではない。皆で解決に当たらなければならない」と指摘した。

その一つは、シラス漁の自主規制だろう。好例は秋田県のハタハタ漁だ。ハタハタは秋田県民にとって年越し儀礼などの食文化と密接につながっているが、1990年ごろに漁獲量が激減したため、1992年9月から3年間、自主的な全面禁漁に踏み切った。

その結果、1991年に70トンと過去最低を記録したハタハタの漁獲量は、2008年には約3000トンにまで戻すことができたという。

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2014年6月16日(月)3:55

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