女性活躍推進による課題――ダイバーシティの現状(1)[山岡 仁美]

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今、日本では、超少子高齢化を迎え、それに伴う労働人口の減少という、国家でも経験の無い状況に直面しています。労働人口が減少するということは、より人的生産性をあげる必要があります。一人ひとりの従業員が能力を最大限に発揮できる組織のバックアップはもちろん、家事に専念している女性をビジネスパーソンとして活用すること、定年退職者を再雇用することが重要になります。ほかにも、障害者や外国人の能力及び労働力を活かしたり、短時間勤務者にも権限を与えたりするなど、人材を多様化する施策を講じるのは早急に取り組むべき課題といえます。(グロウス・カンパニー・プラス 代表取締役=山岡仁美)

言い換えれば、性別・年齢・国籍・雇用形態を問わず、すべての人材が最大限の力を発揮するような環境を提供し、組織の力を高める努力を怠っている企業は、将来の存続が危ういといって過言ではありません。つまり、ダイバーシティ推進が経営上の必須戦略であるというのは周知の事実です。

■ 女性活性化≠ダイバーシティ推進

「多様な人材を取り込み、その人材が能力を最大限に発揮できることにより、企業も社会から正当な評価を受ける」という風土構築、というと重要課題のひとつとして挙がってくるのが、女性の活性化です。情報化・グローバル化・高学歴化・個々の価値観の醸成など、社会背景も含めて、女性の潜在能力は開眼の道を進み続けています。しかしながら、女性の活用には、結婚・育児・看護・介護など、慣習的な役割と切り離すことが難しいのが現実です。

そこで多くの企業で取り組んでいるのが、男性の育児休暇取得奨励・看護介護休暇制度の導入・育児期間のフレックスまたは短時間勤務、などの制度面の充実を図り、尚且つ目標設定をした上で女性管理職を育成していくというプロセスです。

確かに、施策としてのストーリー性も高く、成功すれば社会的認知度を上げることにも繋がるでしょう。しかし、その施策の推進にあたって、次のような大きな解釈違いを改める必要があります。

(1)男女が公平になる制度の見直しそのものが主軸になる
(2)女性には女性向きの仕事、という限定されたフィールドの中での育成に留まる
(3)モチベーション、メンタルは結局本人次第

それらは、日常の職場内や仕事を進めていく中でもありがちな、先入観や固定観念など思い込みがある・発想が乏しい・視野が狭いなどの視点がネックになっているということであり、「女性だからこの業務の担当」「出産したらプロパーは難しい」「制度を整えたのだから利用するだろう」などの、考えを柔軟に発展的に変容しなくてはならないといえます。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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