自転車シェアに見る複合課題への対応(2)[笹谷 秀光]

■ 「ももちゃり」と「ちよくる」

「自転車シェアリング」は、日本でも各地で実験事業的な展開がなされていますが、中でも2014年11月の「持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)世界会議」の開催地の一つであった岡山市では、「ももちゃり」(写真参照)が2013年7月からスタートしました。名前がかわいいですね。

ももちゃり
ももちゃり、岡山駅前で筆者撮影、ESD世界会合の旗が見える

岡山城や岡山後楽園など観光スポットをカバーし、交通関連カードの IT 技術も駆使して、リアルタイムで貸し出し状況などがスマホなどで確認できる優れものです。利用料は他とは少し異なり、1時間以内は無料で、これを超えると30分ごとに100円。そのほか、1日利用、回数券などのプランもある料金システムです。自転車はパナソニック製です。

岡山駅前にも駐輪場があり、見ているとずいぶん多くの人が利用していました。

この仕組みは、コミュニティの協力の中で生まれ、仕組みの良さをみんなで実地に学ぶことができるという意味で、未来に向けてみんなで学ぶこと(ESD)を実践する内容です。世界会議をきっかけに世界からも注目を浴びることが期待されます。

「ちよくる」(写真参照)は千代田区のコミュニティサイクルです。ついに、東京の中心部でも始まりました。千代田区が協定を締結したNTTドコモと連携して、2014年10月1日から、「千代田区コミュニティサイクル事業実証実験」として実施しています。こちらも名前が良いです。

東京五輪に向けて外国人も多く訪れる東京の中心部で外国人がどのような反応を示すのかも注目されます。

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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