IUCN(国際自然保護連合)が定義する「絶滅のおそれのある野生生物のリスト」には、2014年11月時点で約2万2千種が登録されている。生物多様性の確保は喫緊の事項だ。本コラムでは、味の素バードサンクチュアリ設立にも関わった、現カルピス 人事・総務部の坂本優氏が、身近な動物を切り口に生物多様性、広くは動物と人との関わりについて語る。(カルピス株式会社 人事・総務部=坂本 優)
食用とする野生動物の肉をブッシュミートという。狩猟民は野生生物を普通に食料としてきた訳だから当然、世界中にブッシュミートはあり、一律に禁止すべきものではない。
ただ、生物多様性条約の締約国会議では、2012年のハイデラバード(COP11)、2014年の平昌(COP12)と続けて、ブッシュミートの問題が言及され、また取り上げられている。ここでいう、ブッシュミートの問題が端的に顕在化しているのはアフリカの一部地域である。
現在、アフリカには、ゾウ、ゴリラ、チンパンジー、カバをも含む野生動物が、その日の糧として、狩られ、食され、売られている地域がある。その多くは、内乱などの紛争や貧困に苦しむ地域である。児童労働や少年兵、紛争鉱物の産地などとも重なる地域が少なくない。
子供の頃読んだアフリカでの冒険物の本で、真偽はともかく、アフリカゾウはライフル銃でも倒すことは難しい、耳の後ろの急所を狙って確実に倒さないとハンターの命が危ない、といった話しが紹介されていた記憶がある。
しかし、今や、世界で最も貧しい地域の一つと言われるソマリアや中部アフリカで、安全な水の確保もままならぬ状況下で、ゾウをも容易に仕留めることができる高性能な銃を少年兵が持っている(持たされている)ことさえあると聞く。そしてそれが人や動物に向けられている。