[CSR] 「紛争コピー用紙」や「紛争パーム油」の使用止めて――WWFが「持続可能な林産物の購入」を訴え

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3331 Arts Chiyoda(東京・千代田)で開催された森林セミナー「消えた熱帯雨林とプランテーション」

3331 Arts Chiyoda(東京・千代田)で開催された森林セミナー「消えた熱帯雨林とプランテーション」

WWF(世界自然保護基金)ジャパンは7月17日、森林セミナー「消えた熱帯雨林とプランテーション」を都内で開催した。インドネシアでは、製紙用植林地やパーム農園の開発によって大規模な自然林の破壊が続き、地域住民との紛争も起こっている。セミナーでは企業や消費者に「持続可能な林産物の購入」を訴えた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

■ 地域住民との紛争と殺人事件

日本は中国に次いで世界で2番目に、インドネシアから木材含む林産物を輸入している。WWFジャパンの古澤千明・自然保護室森林プログラム責任調達担当は、「日本で流通しているコピー用紙の3枚に1枚はインドネシアから輸入している。日本市場はインドネシアの熱帯雨林破壊や地域住民との紛争に深くかかわっている」と説明する。

インドネシアの紙・パルプ産業は、スマトラ島に生産拠点を持つAPP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)社とエイプリル社の2社が大きなシェアを占める。この2社は、熱帯林を破壊することで製紙原料を調達したり、保護区内で違法伐採植林地を拡大したりしてきた。

強制的に現地住民に立ち退きをせまるなど、地域住民との紛争も引き起こしている。2015年2月には、APP社サプライヤーの警備員によるスマトラ島民殺害事件が発生。WWFジャパンによると、犠牲になったのは、WWFと地元NGOから森林モニタリングのトレーニングを受けていた23歳の青年だったという。

問題なのは、紙製品だけではない。チョコレートやスナック菓子、洗剤や化粧品類に使用されるパーム油も環境破壊に深くかかわっている。日本の製品では「植物油脂」と表示されることが多い。

生物多様性の分野でコンサルティングを手掛けるレスポンスアビリティ社の足立直樹社長は、「アブラヤシから効率的に採取できるパーム油は、ほかの植物油脂に比べて5~10倍ほど生産効率が高く、世界で最も多く生産されている。ただし、パーム・プランテーション開発は熱帯雨林や汚泥湿地林の破壊、温室効果ガスの排出増加などに影響がある」と指摘する。

環境面での影響だけでなく、「社会的な問題として、児童労働や強制労働、土地開発における地域住民との紛争、保護地区における違法な農園開発などにもつながっている」と続ける。

■ 持続可能な認証制度も

足立社長は、「こうした問題は、実質的な支配力・解決力のある『最終ブランド企業』の責任が大きい。持続可能な木材の証明であるFSC(森林管理協議会)認証やパーム油の認証RSPO認証など、認証付き製品を調達することは一つの解決方法」と話す。

EUはすでに2020年までに認証油への全量切り替えを目指している。

足立社長は、「日本では違法伐採木材の輸入などを禁止する法律はあっても、合法であるかどうかの確認が義務化されていない。だが現在、自民党の林政小委員会で、調査を義務付ける議員立法の準備が進んでいる。立法化されると、いままで使っていたグレーな木材が使えなくなる。持続可能な原料調達は日本企業にとって遠い話ではない」と強調した。

企業事例としてセミナーに登壇したイオンは2014年2月、「持続可能な調達原則」を制定した。自然資源の持続可能性と事業活動の継続的発展の両立を目指し、まずは認証商品の拡大に力を入れていく。イオンは、FSC認証を取得した商品や、FSC認証木材を内装などに使用したミニストップの店舗を100店以上展開していることを紹介した。

王子ネピアは、「ネピア クオリティ」を定め、生活品質、環境品質、社会品質の向上に取り組んでいる。王子グループの一員であるネピアでは2011年から、業界に先駆けてFSC認証紙を採用し、主要製品にFSCマークを表示している。同社が販売する製品の約8割はすでにFSC認証を取得しているという。

2015年7月18日(土)13:16

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