日本列島で生きる-経済成長主義の日本を思う

石井 吉徳
東大名誉教授/もったいない学会名誉会長/元国立環境研究所長(第9代)
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「地球は有限、資源は質が全て」。これが基本的な「自然と共存の思想、理念」だ。だがそう思わない人が指導層に大勢いる。「今だけ金だけ自分だけ」。技術万能の強欲資本主義が社会を劣化させた。マイナス金利の禁じ手を使っても社会は沈降する。迷走する日本社会はこれからどうなるのだろう。

今もっとも大事な3つのキーワードは「食糧、エネルギー、そして軍事」だ。それを思考するには、人類の「3つの成長カーブ」を理解したい。ピークオイル論の元祖、天才的な地球物理学者ハバート、M.K. Hubbert (1903~1989) が1976 WWF Conferenceに発表した図だ。
「Exponential Growth as a Transient Phenomenon in Human History」
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これには3つのカーブが示される。

1)非再生的な資源、石油、石炭、鉄鋼など
2)再生的なのは森林、自然エネルギー
3)無限成長が可能なのは資本・利子、つまりマネー、資本主義の世界

その基盤が科学技術の無限成長とされるが、それは本当に可能か。

「人類は自然の恵みで生きている」
「自然」は地域、地方、国によって違う。改めて日本人はどのような地勢、自然生態系に依存するかだ。私は「自然は有限、資源は質が全て」と当然のように思っているが、日本の指導層はそう思わない、かくして日本は迷走する。

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もう一つ重要なことがある。日本は地殻変動列島でしばしば災害に見舞われる。3.11後の福島は依然収束していない。原発事故は「人災」であり、日本の科学技術には重大な欠陥があった。技術過信の傲慢な「安全神話」、そして今は「安心神話」。日本では科学が育たず機能もしていない「市民の科学」がないと言うべきか。リスク感覚を欠く指導層のために、市民は自分で考え自衛するしかないのだ。世界でも危険な変動列島に住む日本人は人任せにしてはならない。

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資料出典:気象庁

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石井 吉徳
東大名誉教授/もったいない学会名誉会長/元国立環境研究所長(第9代)
東京大学理学部物理学科・地球物理学卒。東京大学名誉教授であり、「もったいない学会」名誉会長。元国立環境研究所長でもある。専門は地球学、エネルギーと資源の科学など。単著書には『石油最終争奪戦ー世界を震撼させる「ピークオイル」の真実』(2006)、『石油ピークが来た―崩壊を回避する「日本のプランB』(2007)、『石油ピークで食糧危機が訪れる』(2009=いずれも日刊工業新聞社)がある。

2016年11月24日(木)21:06

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