この夏の異常気象は、気候変動なのか?

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命にかかわる、2018年の夏

西日本で記録的豪雨(2018年7月 写真:読売新聞/アフロ)

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、エネルギープロジェクトリーダーの高田久代です。

グリーンピース・ジャパン の高田久代

西日本では、数十年に一度あるかないかの非常に激しい雨による被害を受け、約200名もの方々が命を落とされました。そして、800万人あまりの方々に避難指示・勧告が出されました。被災者のみなさまに心よりお見舞いを申し上げます。

それだけでは足りないと言わんばかりに、その後、熱波が日本列島を襲い、地域によっては気温が41℃以上にまで達して、日本の最高気温の記録を更新しました。2018年の夏は、日本人に衝撃を与えています。

しかし、極端な異常気象に襲われているのは、日本だけではありません。ギリシャでは、首都アテネ近くの猛烈な森林火災のために、90人を超す方々が亡くなり、街は悲しみに包まれています。グリーンピース・ギリシャ事務所の同僚たちは、被災された方々に、緊急用品、衣類、応急処置の支援等を提供するために、現地で活動しています。

ギリシャ、大規模な山火事(2018年7月 写真:AFP/アフロ

2018年7月は命にかかわる危険な1カ月となり、世界中で最高気温の記録が更新されました。カナダ東部、米国、コーカサス地域などでは、記録的な暑さになりました。また、アルジェリアでは、アフリカで過去最高気温の51.3℃を記録しました。熱波は、中国や韓国にも及んでいます。また、北極圏やスウェーデン、カナダ、米国等で大規模な森林火災が発生しています。

北半球の国だけではありません。冬の真っ只中であるオーストラリアのシドニーでは、この時期の例年の平均気温より8℃も高い日がありました。

気候変動の影響

北極のシロクマ(2016年8月

これらの異常気象はすべて、気象パターンが混乱に陥りつつあり、気候システムが正常でなくなっている兆候です。気候変動は、次世代への負の遺産であるにとどまらず、私たち自身が、富める国でも貧しい国でも、現に経験していることなのです。

気候変動懐疑派は、今年が少し変動のある年なのだ、これまでもそんな年はあった、と言うでしょう。彼らは、1920年代初めに、日本と中国北部に猛烈な熱波があったことを指摘しています。また、ノルウェーでは1970年代に北極圏での森林火災を経験しました。極端な異常気象はこれまでも起こってきた、と彼らは言います。

サンゴの白化現象(2017年3月 オーストラリアのグレートバリアリーフ)

確かに、過去にそうした個々のケースはありました。しかし今夏のように、世界中で異常気象が連鎖的に多発する状態はありませんでした。化石燃料を燃やすことで、地球が温暖化していることは明らかですし、科学者たちは、温暖化した地球では、熱波が極端化する傾向があると指摘しています。今年の夏は、将来の私たちの世界がどのようになるかを示しています。気候変動の科学者の一人は「私たちは、熱波や豪雨が起こる頻度やその激しさを、自分たち自身で、高めている」と語っています[3]。

今こそ、行動を

若者による気候変動デモ(2018年7月 米国ワシントンD.C.)

気候変動問題に取り組んだ最初の地球サミット(リオデジャネイロ、1992年)から、四半世紀以上が経ちました。その地球サミットの何年も前から気候変動についての警告は出されていました。しかし国や企業は、いまだに地球温暖化の主な原因である化石燃料、特に多くのCO2を排出する石炭を燃やし続けています。

大気中のCO2量は1950年代から30%増加しています(Etheridge et al. (via CDIAC))。

この危機の原因は明らかです。この課題に対し、世界的な取り組みを進めるためのパリ協定もあります。しかし、世界5番目の温室効果ガス排出国の日本は、現在、さらに石炭火力発電を増やすために、新設計画を進めています。また日本は、海外での石炭利用の支援もしており、日本の銀行は東南アジア全域の石炭火力発電のインフラ整備事業に資金を提供しています。

石炭火力発電所に反対するグリーンピースのアクション(2016年4月 トルコ)

日本人の半数近くは、この夏のような深刻な洪水や熱波が起こる前から、気候変動が深刻な問題であると認識していました(Spring 2015 Global Attitudes survey. Q32)。日本政府には、石炭やその他の化石燃料に対する支援をやめて、人々の不安に対処することが求められます。これは、グリーンピースだけが求めているのではありません。気候変動に関する外務省の有識者会合でも提言されています。

企業も次々と関心を示し始めているように、日本は、持続可能な自然エネルギー100%の社会へと早急にシフトする必要があります。パリ協定達成のために、日本は電力部門の完全な脱炭素化を2030 年までに成し遂げる必要があります(『パリ協定に基づく日本の石炭火力フェーズアウト 政策決定者と投資家への示唆』(自然エネルギー財団))。新規の石炭火力発電所を建設する余地など全くありません。省エネを最大化し、全てのエネルギーを持続可能な自然エネルギーでまかなっていく社会をつくっていくことが求められています。

ローマでの気候変動デモ (2015年11月 イタリア)

いま行動を起こさなければ、この先、私たちは2018年を「異常な年」ではなく、異常が「日常的に起こり始めた年」として記憶することになるでしょう。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、世界規模の環境問題に取り組む国際環境NGOです。問題意識を共有し、社会を共に変えるため、政府や企業から資金援助を受けずに独立したキャンペーン活動を展開しています。本部はオランダにあり、世界55カ以上の国と地域で活動し、国内だけでは解決が難しい地球規模で起こる環境問題に、グローバルで連携して解決に挑戦しています。

2018年8月7日(火)10:45

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