欧米発の環境認証C2C(クレイドル・トゥ・クレイドル、ゆりかごからゆりかごへ)が世界の大手企業の間で広がってきた。持続可能性や完全リサイクルを 目標に掲げる「モノづくり」のための新しい環境認証で、ナイキ、フォード、米郵政公社(USPS)などの大手企業が相次いで取得している。10月4日には C2Cの提唱者が来日し、都内でセミナー・シンポジウムも予定されている。
C2Cとは、従来の製品サイクル「生産→使用→廃棄」(ゆりかごから墓場まで)の概念から、廃棄の概念をなくし、使用後もリサイクルできるデザインにする「生産→使用→生産」 (ゆりかごからゆりかごへ)という考え方だ。
すべての素材を生分解性(土に還るもの)と技術分解性(回収、分解、再組み立て/リサイクル)の2つの物質サイクルでとらえ、地球にとって有益で害のない資源循環の実現を目指す。製造過程では、自然エネルギーを使うことが必須とされる。
C2Cは、独の科学者マイケル・ブラウンガート氏(独環境保護促進機関EPEA創始者)と米国の建築家ウィリアム・マクドノー氏が提唱した。1995年 には、環境システムの最適化に特化したデザイン企業としてMBDC(マクダナー・ブラウンガート・デザイン化学)を設立した。
C2Cの対象は、企業と製品の2種類。製品認証は、ゴールド、シルバー、ベーシック基準の3段階がある。すでにナイキ、フォード、USPSら大手企業が一部の製品で製品認証を取得している。
日本では、漆喰製品メーカーの田川産業(福岡県田川市)が、漆喰を利用したタイル状の建材「ライミックス」など4製品でシルバー認証を取得した。
企業認定を受けたのは世界でわずか3社。昨年4月には、自然派化粧品として知られるアヴェダ(米ミネソタ州)が、化粧品会社として世界初の企業認定を取得した。同時に「スムーズ インフュージョン シャンプー&コンディショナー」など7製品でゴールド基準を取得。
100%風力発電による製品の製造、再生可能なパッケージの採用、オーガニック農法の支援などが評価された。
このほど提唱者であるマイケル・ブラウンガート氏が来日する。10月4日には、「グローバル環境認証:欧米で先行するC2C セミナー&シンポジウム」が日本財団ビル(東京都港区)で開催される。
環境に負荷を与えるのではなく、プラスの影響を与えることを目指す新しいモノづくりの考え方として、日本でスタンダードになるか、注目されている。(オルタナ編集部=吉田広子)2010年10月3日