シニアの就労意欲喚起を目指して「からだ測定」

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潜在労働力として期待されるシニアに自身の体力や認知力を正しく知ってもらうための「からだ測定会」が11月15、16日に岩手県沿岸部の陸前高田市、釜石市で開かれた。釜石会場では買い物ついでに立ち寄った人たちなど80人が身体の柔軟性や記憶力などを測定、参加者からは「思ったより体力があると分かった」「短時間だけ働くことに興味が湧いた」などの声が上がった。

文・釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)=手塚さや香

柔軟性を測定する参加者

この測定会は、ハローワーク釜石やリクルートの協力で岩手県沿岸広域振興局が主催。両市では今年1月に続いて2度目の実施となった。東日本大震災で被災した沿岸部の労働力不足が深刻化する中で、測定と結果の把握にとどまらず、心身ともに健康なシニアにはもう一度働く自信と意欲を持ってもらいたいという狙いのもとで行った。

岩手労働局のまとめでは、岩手県沿岸部の2018年10月現在の有効求人倍率は1.47倍で、前年同期の1.53倍からは若干改善しているものの、深刻な人手不足が続いている。同振興局は、長時間の勤務は難しいシニア層や子育て中の主婦などを対象に1日1~3時間という短時間の「プチ勤務」を広げようと、導入する企業の開拓などを進めており、会場にはハローワークのブースも開設し、その場で仕事の相談にも対応した。

参加者は、椅子に座った姿勢から立ち上がり目標物を回って戻って来るまでの速度や、所定の時間内に小さな部品を組み立てた個数によって身体能力を測るテストに挑戦。タブレット端末を使った記憶力や計算力、性格特徴などの判定も行われた。測定は全部で30分ほど。その後、結果を解説したシートをもとにリクルートの社員らが体力や認知力の状態を説明した。

シートには「しごと体力」「しごと処理力」の項目ごとに、自分の結果と同年代平均値を示したグラフなどが示され、性格の特徴「しごと個性」は「ネコタイプ」「シロクマタイプ」など動物になぞらえて分析されている。

結果を働くことにつなげて考えてもらうため、シートには「あなたに向いている仕事の例」の項目を記載。仕事の例として、実際に釜石でシニアも応募可能な求人を出している企業名も明示するなど、具体的に就労をイメージしやすいような構成になっている。

同振興局産業振興室の横澤嘉宗さんは「シニアにもう一度、社会の中での居場所を見つけてもらうことが、結果的には人材不足という課題の解決にもなり、地域力の向上にもつながる」と掘り起こしに期待している。

リクルートによると、測定前のアンケートで、就業しておらず「(仕事を)探しておらず、働く予定もない」と回答した人に測定結果シート確認後にも再度アンケートを取ったところ、11%は「就労したいと思った」、30%が「提示された仕事内容に興味を持った。勤務条件が合えば検討したい」と回答。働くことへの関心が喚起されたことが裏付けられた。  

測定終了後は結果を解説したシートを示してからだの状態を説明

同社次世代事業開発室の宇佐川邦子さんは「測定前には『働く気はない』としていた人でも、自分の体力や認知力を知った上で適した仕事を示されると、もう一度働いてみようと考えることが少なくない。70歳前後は同じ年齢でも能力に差が出てきる世代なので、測定結果をもとに自身にちょうど合う仕事を見つけてもらえれば」と話した。

測定を受けた主婦(66)は「思ったより体力があると分かって安心した。50代のころから働きに出ていなかったが、津波で流された家を再建することができて落ち着いてきて、これからの暮らしを考えるようになった。測定会の会場で短い時間で働ける制度のことも知れたので、色々調べてみたい」と測定結果に笑顔を見せた。

一般社団法人 RCF
2011年4月、震災復興のための調査を行う団体として発足。現在は復興事業の立案・関係者間の調整を担う「復興コーディネーター」集団として活動。代表理事は藤沢烈。活動例として、2015年度はいわて未来づくり機構を母体とする「いわて三陸 復興のかけ橋プロジェクト」を岩手県より受託し、岩手県内各地と県外企業・団体の復興支援マッチングを推進している。

2018年12月18日(火)11:29

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