環境破壊を五感で味わう「絶滅体験レストラン」

続いてメインが2つ。魚料理は「希少なサーモンの温菜~漂流物を添えて」。サーモンの上にはプラスチックのカップが載せられている。プラスチックの破片に見える赤い物体は、ビーツで色を加え、食べられる。2030年の海はプラスチックでいっぱいのようだ。美味しいサーモンを食べられるのも貴重な機会となってくる。

プラスチックカップが添えられたサーモン。2030年の海を表している

食事の合間にもイリュージョンマジックや絶滅危惧種に扮したキャストによるショートミュージカルなど華やかなショーが続く。

食事の合間にさまざまなショーが行われる

■コオロギからカラスまで、鮮烈な味覚の体験の連続

ハクビシン、カラス、ヌートリア、シカ、イノシシ、カモ、アナグマ、キジ、ガチョウの合い挽きハンバーグ

肉料理を提供される頃にはかなり環境は厳しい時代に入ったようだ。2100年を想定した「地球最後の肉を使った合い挽きハンバーグ」は、なんとハクビシンやカラス、ヌートリアなど9種類の肉が入っているという。ジビエ料理を食べているような野性的な味だ。

続いて出てきたのは昆虫料理「生き残った者たちのリゾット」コオロギ添え。生き残ったのが昆虫だけという世界を想定したコオロギのエキスで炊いたリゾットは、思いのほか香ばしく美味しい。

香ばしい揚げコオロギ

実際、昆虫食は栄養価が高いだけでなく環境負荷が少ないことから今後の食糧不足を補う有望な食材として注目されている。国内外で昆虫食を扱うスタートアップが目白押しだ。

会場からは「コオロギなんて食べられない」という声もあがったが、あまり氏は「そういう体験が大事。あとでそのことが何かの気づきにつながり、環境への意識がアップデートされる」と話す。

最後のデザート「孤独のかたち」はタガメとミドリムシのゼリー。2100年の世界では絶滅した生物が多く、食べられるものが限られてくる。この頃になると素材を聞いても驚かなくなってくるから不思議だ。

すっきりとした味わいのタガメとミドリムシのゼリー

ショーの最後は「We are the world」を出演者全員で歌う。なかなか自分事としてとらえられない地球環境の問題をエンターテイメントで伝え、気づく体験を提供する「絶滅体験レストラン」のアプローチはユニークだが真剣だ。エンディングには「何かに気づいたら、今日から、他の誰かではなくあなたが始めましょう」と環境への取り組みを訴える。あまり氏は「エンターテイメントで、地球を救う」ために今後もショーを継続していきたいという。

今回の絶滅体験レストランは、WWF(世界自然保護基金)やサラヤなどが後援・協賛し、会場内にはブースも設置された。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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