セルフマネジメント研究第一人者に聞く「10の心得」

2019年末、内閣府から最新の「日本の若者意識の現状」が発表された。日本と世界6カ国を対象に行われた調査の結果、日本の若者の将来への不安や自己肯定感の低さが改めて明るみになった。これは日本社会全体にも当てはまるのではないか。明るい未来を描き、幸福な人生を送るために、我々にできることはなんだろうか。米国のセルフマネジメント研究の第一人者であるジェレミー・ハンター氏に、現代人が身に付けておきたい心得を聞いた。(寺町幸枝)

セルフマネジメント研究の第一人者であるジェレミー・ハンター氏

■スキルとして見に付けられるセルフマネジメント

ハンター氏は、米国カリフォルニア州のクレアモント大学院大学にあるビジネススクール「ドラッカー・スクール」で教壇に立つ。20歳で不治の病に直面し、死への恐怖と対峙する中で、セルフマネジメント研究に行き着いたという。

社会的な成功を求める人々に対して、「心と向き合うことの大切さ」を教えている一人だ。現代社会でサステナブルに生き続けるためにも、ハンター流セルフマネジメント術は身につけておくと役立つ便利なツールだ。

◆ジェレミー・ハンター流10の心得

その1)人生は「瞬間」の連続だと捉える
その2)マインドレスネス=オートパイロットな(意識せずにルーティーンで行動する)生き方を見直す
その3)「恐怖」と折り合いをつける
その4)覚えておきたい意識の「レッド・グリーン・ブラック」ゾーン
その5)サバイバルモードを解除する
その6)「普段の生活」こそ、グラウンディング(意識と身体を一致させ、リラックスした状態)の場として利用する
その7)分析対象は、リアルな自分の身体的反応から
その8)プロセス重視から、目標重視へ意識を変える
その9)意図を持って、行動を変えてみる
その10)質を重視した生き方を目指す=Be Happyを追求する

ハンター氏は、現代人はストレスを無自覚で溜めてしまっていたり、無視したりしている人が多いと指摘する。

ハンター氏のアプローチは、「自分のエネルギーが今どこにあり、それをどこに持っていくか」に集約される。多くの恐怖やストレスは、自分の体にあるエネルギーが、適正な状態にいないことから起こると考えるのだ。

宗教的な要素ではなく、むしろ客観的に自分の身体的な反応としての「神経」のある状態に対し、それをどのように変化させていくのかが、人生そのものに影響することに気づく作業でもある。

特に自分のエネルギーの状態を知るすべとして、意識レベルを色で例えると分かりやすい。「レッド・ゾーン」では、大量のエネルギーが体に溢れ出ることによって、怒ったり、悲しんだり、心配になったり、集中ができていない状態を指す。一方、エネルギーが全くない「ブラック・ゾーン」では、鬱状態になったり、孤独を感じたり、すぐに諦めてしまう。

そして理想的なエネルギー状態が「グリーン・ゾーン」であり、精神的に安定し、満足した穏やかな気持ちでいる状態を指す。

ハンター氏によれば、多くの現代人は、このグリーン・ゾーンを少しレッド・ゾーンに飛び出たあたりにいるという。そのため、ストレスを無自覚で溜めてしまっていたり、無視したりしている人が多いという。

■「グラウンディング」を身に付ける

teramachi

寺町 幸枝(在外ジャーナリスト協会理事)

ファッション誌のライターとしてキャリアをスタートし、米国在住10年の間に、funtrap名義でファッションビジネスを展開。同時にビジネスやサステナブルブランドなどの取材を重ね、現在は東京を拠点に、ビジネスとカルチャー全般の取材執筆活動を行う。出稿先は、Yahoo!ニュース、オルタナ 、47ニュース、SUUMO Journal他。共同通信特約記者。在外ジャーナリスト協会(Global Press)理事。執筆記事一覧

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