原田勝広の視点焦点:脱「お笑い」被災地で奮闘9年

原田勝広
オルタナ論説委員

そこで富山さんが取り組もうとしているプロジェクトがオーガニック・チョコレートの販売です。これはネパリ・バザーロとの連携。もともとはネパールで学校建設やフェアトレードをしている団体で、陸前高田でも椿油販売で復興を支援しています。連携してインドのオーガニック・カカオを沖縄で精製、沖縄の黒糖と合わせてオーガニック・チョコを作ろうというアイデアです。

ことし11月に、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(東京)が主導して陸前高田市今泉地区に設立する商業施設「発酵パーク・CAMPSY(カモシー)」に入居、チョコレートの製造・販売が始まる予定です。この地区は藩政時代から味噌、醤油屋が軒を連ねるなど発酵の里として知られたところですが、津波で壊滅的な打撃をこうむりました。そのため新設される施設では古くからの味噌、醤油のほか、地ビール、パンに加え、発酵食品であるチョコレートも加わることになったわけです。

富山さんは「地元の人たちと一緒にお店を出せるのがうれしい。より良い社会づくりへの挑戦の第一歩。チョコは純度が高く健康にも効果がある。働く人もリハビリで回復した高齢者や障がい者を予定しており、ユニバーサル就労、ユニバーサル・タウンのモデルになりたい」と意欲的です。

ソーシャル・ビジネス・ネットワークの町野弘明専務理事は、そんな富山さんを「彼は根っからの社会起業家。経営が苦しい旅館を、健康の宿として立て直すなどいろんな手法を駆使して陸前高田を変えようとしている」と高く評価しています。   (完)

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門は国連、CSR, ESG・SDGs論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』など多数。

2020年2月26日(水)9:00

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