電力小売市場が全面的に自由化され、一般の家庭でも電力会社が選べる「電力自由化」が2016年から始まっています。
家庭で使う電気について、電気の原材料で電力会社や電力メニューを選ぶことで、消費者は無視できない影響力を電力市場に及ぼすことができます。
でも、そのためには、2つの重要な前提があります。1つ目に、電力市場制度が「グリーン電力小売事業者に適したもの」であること。そして、グリーン電力メニューを提供する電力会社が、単なる「イメージ先行」ではなく、本当の意味での変化となること。
現在の電力小売市場は、市民や地域による自然エネルギーの電力会社を選びやすくなっているのでしょうか。なっていないとしたら、何が問題で、どのような施策が必要なのでしょうか?
そんな疑問への答えが本報告書『日本におけるグリーン電力小売(注1)促進のための枠組み条件分析』にかかれています。本報告書は、ドイツで自然エネルギー100%の電力を届ける電力会社、グリーンピース・エナジー社の協力をもとに、ドイツの研究機関であるIZES(将来エネルギーシステム研究所)(注2)によって作成されました。
グリーンピース・エナジー社は、1999年秋、グリーンピース・ドイツのキャンペーンがきっかけとなって設立された協同組合方式の電力・ガス供給会社です。設立から20年を迎え、ドイツ全土の18万軒に電力・ガスを供給しています。