ロシアのウクライナ侵攻で、石油大手シェルは2月28日、主要な液化天然ガスプラントを含むロシアの全事業から撤退することを明らかにした。一方、欧州有数のエネルギー企業「エーオン」(ドイツ)はロシアからの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム1」について政府からの停止要請を拒否した。ウクライナ侵攻を起点にしたエネルギー危機は日本にも大きな影響を及ぼしそうだ。(オルタナ編集部)
シェルのロシア事業には、日本の三井物産と三菱商事も出資するサハリン沖の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」を含む。同社は同プロジェクトからも撤退すると表明した。
一方、独エネルギー大手の「エーオン」は、ドイツ政府から受けていた「ノルドストリーム1」の停止要請を拒否した。同社は「ノルドストリーム1」の権益15.5%を保有する。
独ライニッシェポスト紙によると、エーオンの広報担当者は「ノルドストリーム1」のプロジェクトは、「ノルドストリーム2に関する進行中の議論とは全く異なる」と説明した。
シェルのロシア事業撤退は、日本の天然ガス調達に大きな影響を与え、今後のガス価格高騰が懸念される。一方、「ノルドストリーム1」の継続は天然ガス需給の面ではプラスに働くものの、今後、エーオン社に内外から批判が集まり、今回の決定を見直さざるを得なくなる事態も想定される。
シェルは、ロシアとドイツを結ぶバルト海のガスパイプライン「ノルドストリーム2」への関与も止めるとしている。