■日立造船の株主に投資撤退を要請
公開協議に先立つ6月10日、熱帯林の破壊や気候変動への悪影響など計画の問題点を指摘してきた「ウータン・森と生活を考える会」(大阪市)は、建設・運営事業者の日立造船に対する投資撤退を求める要請書を投資機関に送付した。
日立造船の株主らに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から投資撤退を含めた同社との対話を促す狙いだ。要請書には、8カ国・24団体のNGOが賛同している。
日立造船の株主と想定される44の投資機関にあてた要請書では、同社のパーム油発電事業に対し以下の5つの理由により、ESGの観点からの対話の強化と、改善しない場合の投資撤退(ダイベストメント)を要請している。
パーム油発電は、①事業リスクが高いビジネスで、日本政府は規制を強めている。②(地球温暖化対策の国際的枠組みである)パリ協定と持続可能な開発目標(SDGs)のゴール13(気候変動)に逆行する。③熱帯林の破壊を引き起こしSDGsゴール15(陸域の生物多様性)に逆行する。④食料と競合することが問題視されており、SDGsゴール2(飢餓の撲滅)に逆行する。⑤地域住民が断固反対しており、SDGsゴール16(平和で公正な社会の実現)に逆行している――以上5つの理由だ(要請書より)。
同会の石崎雄一郎事務局長は、「要請書には短期間で世界の多くのNGOから賛同が集まった。欧州ではバイオ燃料としてのパーム油を規制する流れが進むなかで、その売り先が日本に移ってきている状況がある」と指摘。パーム油発電事業の問題点に警鐘を鳴らした。