オルタナ3号(2007年8月発売)

オルタナ No.3 Aug 2007第一特集

横並びCSRならやめちまえ

CSR(企業の社会責任)は、企業の義務ではありません。あまり成果が上がらないなら、あるいは社会から評価されないなら、やめてしまうのも一つの手です。でも、ちょっと尖ったCSRで社内外を動かし、多くの人に感謝され、会社を良い方向に変えていくのも悪くありません。そのために何が必要か、なぜCSRなのか――を考えてみました。

第二特集

ヘンプ麻 恐るべき将来性

古くから日本人に身近な素材だった「麻」。石油製品の普及と日常生活の西洋化に伴ってめっきり使われなくなった麻が今、地球環境や私たちの健康に優しい存在として再び注目され始めている。衣服や食物などの身近な消費財から、プラスチックや建材といった産業用資材、さらには土壌浄化に至るまで、広がり続ける麻の可能性とその将来性を探った。

オルタナ・ パーソン
片山隆之(帝人代表取締役副社長CSRO)

企業が道をはずさないために

CSRO(社会的責任担当役員)とは、世界の大企業の中でもおそらく初めての呼称だろう。このタイトルを導入した帝人は「事業戦略」「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」「CSR(企業の社会責任)」を三位一体と位置付ける。その狙いを、帝人の初代CSROである片山隆之・代表取締役副社長に聞いた。

オルタナティブ・カンパニー
14
ヴェレダ「人と自然との調和」志し85年

環境への配慮が叫ばれるはるか以前から、防腐剤や香料、色素などの化学合成成分を一切使わずに化粧品を作り続けるヴェレダ。同社の理念は「人智学 人と自然との調和」。1922年の創立当時も、この考えはかなり革新的だったという。しかし、自分たちはパイオニアだという自負が、ヴェレダの発展を支えてきた。

ナチュラルハウス 生産者と消費者の橋渡し役に

ナチュラルハウスが自然食品の第一号店を東京・表参道に開いたのは、82年のこと。当時はまだ自然食品に対する一般人の関心は低かった。それを今、東京近郊や関西などに30店舗を展開するチェーンに成長させたのは、親子二代の経営者による「オーガニック」に対する、深い思い入れだ。

ビジネス・ウェーブ
18
おじいちゃんと孫の「出会い系」

核家族化が定着した先進国では、祖父母というのはもはや遠い存在。おじいちゃん、おばあちゃんを知らない子どもたちと孤独な老人を交流させるユニークな試みがフランスで注目されている。

アマゾンにかおるカカオ、森を守る

環境保護とフェアトレードを目指し、カカオの生産農家が集まって結成されたユニークな生産者組合、「カラリ」。1人のボランティアの創意と工夫が、貧困にあえぐ村を著名なチョコレート産地に変貌させた。

マーケティング
21
もう一つのブランド論「ブランド2.0」があるとすれば

ビジネスは、新しい時代に入った。旧来を1.0とすれば、ビジネス2.0といったところか。1.0の時代では、起業の動機が「一日も早く成長させ、社員数、売上高、利益共に大きくし株式公開。いずれは大きな自社ビルか都心高層オフィスビル入居」が一般的だった。

CSR経営論 「ゴミに価値を見出す視点を」

循環型社会を「ゴミ」という視点でとらえた場合、4つの価値を見出せる。
まずゴミを少なくして、最終処分場の延命を図ること。次に、ゴミによる環境負荷を軽減すること。これまで無価値とされていたゴミから新しい経済的価値を創造すること。そして、人類が将来的にも活動を継続していくために資源やエネルギーを温存、確保することである。

ニューススクランブル
24
日本最大級の食育イベントほか

全国の生活協同組合や行政、企業、NPO、国際機関などが集まり、日ごろの食に関わる活動を発表する日本最大級の食育イベント「コープたべる、たいせつフェスティバル2007」(日本生活協同組合連合会主催)が、8月27日(月)、28日(火)に東京・有楽町の東京国際フォーラム展示ホールで行われる。

フード
32
DREAM TERRACE夢寺S(ゆめてらす)

味わい、癒され、ためになる「寺子屋カフェ」
昔の「お寺」のように、共に集い、学び、癒し、笑い合える場所を―。キャリアの異なる関西の3人が中心になり、西宮の閑静な住宅地に今春、コミュニケーションカフェ「DREAM TERRACE(夢寺S)」をオープンさせた。

菊水食品「頑固一徹」ほか

プラ容器完全不使用のエコ納豆
日本有数の納豆産地である茨城県から、「納豆を食べるたびに出るゴミをどうにかして!」という消費者の声に応えて誕生したのがこの納豆。PSP(ポリスチレンペーパー)プラスチック容器に代えて、日本古来の包装材で通気性や殺菌性に優れた「経木(きょうぎ)」と紙を使用。タレやからしなどの添付もやめた。昨年7月の発売当初はバイヤーたちに見向きもされなかったが、北海道産鈴丸小粒が醸すオーソドックスな味とエコロジーへの挑戦が共感を呼び、取り扱いが徐々に増え出した。

健康
33
KIYOの哲学 「げに美しきは米と豆」

体は元気なのに訳あって丸1日何も食べることができず、本当にお腹が空いた時に「何を食べたいか」と聞かれたら、皆さんは何と答えるだろう。

眠りを軽視する日本人

日本人は国際的に最も眠りを軽視している国民」—。こんな衝撃的な結果が数々の調査で明らかになっている。約半数が睡眠に何らかの不満を持ち、約65%が「睡眠時間が足りない」と考えているという。

オピニオン
35
環境・CSRリレートーク
富士フイルムホールディングス 出石忠彦さん

皆さんの中には、企業や団体でCSR報告書の編集を担当している方もいらっしゃることでしょう。かくいう私もその一人です。富士フイルムがCSR報告書のルーツである「環境レポート」を発行したのは1996年のこと。私は4冊目の99年版から編集に携わり、以来9年間ずっと報告書の制作にかかわっています。

私のエコひいき
個人のエコ行動頼みにうんざり

地球温暖化への関心の高まりからでしょうか、最近「私にできる」とか「家庭でできる」エコ行動リストというのをよく目にします。それは、例えば「冷房の設定温度は28度に」だったり、「マイバックを持つ」だったり、「シャワーを出しっぱなしにしない」だったり―。どれも大切なことですが、この手のリストを見るたびにこんな風に思われる方も少なくないはずです。
「もう全部やってるよ」

ダイアローグ
37
田口ランディ連載「エゴからエコへ」
同じテーブルにつくために

組織におけるリスクマネジメントの第一人者である東北大学名誉教授の北村正晴さんにお会いした。
原子力や最先端技術の問題をめぐって一般市民との対話フォーラムを続けている方だ。その活動の発端になったのが、99年の東海村の臨界事故の時、私と原子力研究者の菅井弘さんがネットで交わしたメールのやりとりだったと告げられて驚いた。

カルチャー
40
音楽「TUCKER」

オレ流エレクトーン、世界を沸かす
「初めてエレクトーンを触ったのは23歳のとき。誰かから習ったり、音楽学校に通ったりしたことはないですね」
年代もののエレクトーンが鎮座し、壁一面をアナログ・レコードが埋めつくすマンションの一室。部屋のあるじは、没頭していた録音作業に一区切りつけると、人懐っこい笑顔を浮かべて大胆なコメントを投げかけてきた。

映画「The 11th Hour」

関心の余波を広げるエコセレブ
レオナルド・ディカプリオが製作、脚本、ナレーションを務める『The 11th Hour』が今秋全米で公開される。タイトルは英語で「手遅れになる瀬戸際に」という意味を持つ。

本「イワシが高級魚になった?-ふしぎな海の生態系」

食卓から消え行く「海の米」
豊富な栄養と、さまざまな調理法で食べられることから「海の米」とされてきたイワシ。その漁獲量が減少し、高級魚になったといわれている。イワシが入手困難になれば、多くの家計にとって大ピンチであろう。

エコライフ
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早見 優さん

「旬」を感じながら、地球を大切にしたい
――二人の娘さんの母として、食生活に気を使いますか。
低農薬の野菜をよく買いますが、すべてがオーガニックではありません。一番気を使うのは、いろんな種類のものをバランスよく取ることと、「旬」にこだわることです。私はグアムとハワイで育ったので、初めは日本の旬が分かりませんでした。でも、旬のものはおいしいし、体がその季節に合って体調が良くなる気がします。

トラベル
45
フランスシャトー巡り
中世を生き抜いた貴族の館

フランス北西部、ブルターニュ地方にあるケルグレックの館は、起伏に富む美しい入り江の高台に建っている。数キロ先は英仏海峡。船で北上してまもなくたどり着く英国は、パリへ行くよりずっと近い。

ショップ・グッズ
47
リリパット

レンガ造りのエントランスを抜けると現れる、愛らしいアイボリーの扉。リリパットは、アンティーク感漂う書斎のような静かな店内に、時を経て日本に渡ってきた年代物の豆本が並ぶ専門店。欧米の古書を中心に、どれも収集家垂涎ものの豆本ばかり約4千種・1万冊と、国内随一の蔵書数を誇る。

The Shoe Wheel

靴箱がファインアートに
観覧車のように回転する鉄製の本体に、ピザのスライスのように分かれた収納ポケット。そこには靴たちがコンパクトに並ぶ。斬新なデザインに驚かされるが、なにより、どこにどの靴があるか、ひと目で分かる。

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