崩壊するエネルギー基盤、世界はその先に何を見るのか--NPO法人「もったいない学会」会長 石井吉徳 1/2

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1.石油減耗時代、新しい価値観が問われている
連日、経済成長、浮揚が話題です。もっと財政支出を、産業・雇用対策を政府は考えよ、との大合唱です。しかしすでに日本は世界最大の借金大国、20年間の日本病は益々重体、そこに東日本大震災です、更なる要求、不満が政府にぶつけられます。

それは可能なのでしょうか、無いものねだりではないでしょうか。何か根本、思考の原点を変えなければならないのではないでしょうか。石油文明を支える「安く豊かな石油」が限界なのです。

1972年のローマクラブの「成長の限界」が現実になっている、と考えます。当時、エコノミストが「限界」を嫌って一斉攻撃し葬ったのですが、それを助けたのがテクノロジスト、技術至上主義でした。成長願望は原発崩壊後も変わらないようです。

「地球は有限、資源にも限りが」、何故理解されなかったか
世界の油田発見ピークは遥か昔の1964年頃でした。そして石油の生産量ピークは2005年、その後は景気の変動とともにプラトーとなっていますが、いずれ原理的な石油減耗時代がくるのでしょう。(2005年 R.Bartlett 議員が US Congressで証言に使った図)


日本は無資源国と言われますが、昔は金や銀、石炭など豊富でした。けれど採り尽くしてしまった。それがいま地球規模でおこっているのです。でも認めようとしません。例えば新しい車社会の試みとして、電気自動車が話題ですが、その電池に使われるリチウム資源は南米の塩湖で採れますが、それも自然の蒸発で濃縮された資源です。

勿論有限で、環境汚染が激しいのです。このようなことは日本で話題にしません。そして原子力発電に使われるウランも濃縮されたもの、当然有限です。そこで海水ウランという人が、業界トップにすらいます。エネルギー収支比、EPRがわかっていないのですね。

在来型と非在来型のエネルギーのちがい、本物とそうでないもの、それはEPRで判断するしかないのです。日本では近海に天然ガス資源としてメタンハイドレート豊富と、いろいろな幻想が報道されますが、濃集されていない海底面下の地層中に分散した水和物で、ガス油のように自噴するわけではないのです。そのほか様々な新エネルギーもEPRで見直さないと無限の税の浪費となります。

石油減耗時代はもう来ている
繰り返します、「安くて豊かな石油」が現代の大量生産型の工業文明を支えました。グローバリゼーションのための船の運賃は非常に安く、そのおかげで中国なども鉄鉱石を南米から輸入し鉄を造って輸出する経済が成り立っています。日本も食料の多くを海外から安く輸入できました。

しかし石油減耗で飛行機、クルマ、船など、内燃機関に石油を使う現代の運輸システムは衰退するでしょう。これはグローバリゼーションの終わりを意味します。流体燃料が支えたグローバリゼーションが衰退すると、食料が安く輸入できないばかりでなく、肥料やトラクター燃料、農薬などに影響がでます。

食料生産は低下します。今は食料1キロカロリーを生産するのに、石油を10キロカロリー使っていますから現代の人間は石油を食べているようなものです。いま世界中で富裕層に富が集まっており、大きな格差社会ができています。石油をベースの経済成長主義は、社会に大きな歪みをもたらしました。

日本では年間3万人もの自殺者が出ています、若い人は大学を卒業しても就職できません。地方や一次産業は疲弊し、人々のつながりが希薄となり、心が貧しくなっています。石油ピーク後はこうした効率優先社会は成り立たなくなりますから、むしろ地産地消型で食料生産にも人手がかかるので、雇用が増えます。

風車や小型の水車などは地場産業向き大工さんが造れます。地方で中小企業、産業を育って行くでしょう。そういう視点から見直すと何をすべきか見えてきます。政治家や大企業のトップ、高級官僚は今の状態を変革しようと思っていない。彼らは今がハッピーで「幸福ピーク」なのです。でもお金持ちでない庶民、とくに若い人は上の人の考えをクールに見ている。

政府や企業が煽る、浪費のかけ声に踊りません。直感的に無駄をしてはいけない、無駄の先に未来はないと思っているようです。「もったいない」が分かっているのでしょう。2008年、リーマンショックの前、トヨタ技術会で、石油ピークについて講演しました。、1000名を超える人が集まりました。その事前打ち合わせで何回か会った若いトヨタ社員は、自分が50~60歳になった時、今のトヨタがこのままでないと直感していました。

一般の国民もクールに見ています。この意味では日本国民の意識は世界の最先端なのかもしれません。石油ピークは文明ピークです、社会の仕組みが大きく変わる、と肌で感じているのかもしれません。

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2011年12月26日(月)13:46

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