「がれき反対」准教授逮捕に「不当逮捕」

阪南大学の下地真樹准教授が9日、大阪府警に威力業務妨害などの容疑で他1名とともに逮捕された。警察発表などによれば下地氏ら数十人は10月17日夕方、JR大阪駅構内で拡声器を使い「がれき反対」と声を上げながらデモ行進し、通行人らに震災がれきの大阪府内への焼却受け入れに反対するビラを配布。このとき駅員の警告を無視するなどしたという。

阪南大学は10日、同大学のウェブサイトに学長名で「今後事実関係の把握に努め、適切に対応する」とのコメントを掲載。同大学の担当者は「本人と連絡が取れない状況で、情報を確認している」と話している。

8月30日の大阪市住民説明会で質問に立つ下地氏(ユーチューブ動画から引用)

下地氏は、大阪市が進める震災がれきの焼却受け入れに反対する活動を展開。「モジモジ先生」の呼び名で知られる。8月30日に橋下徹市長らが出席した住民説明会では政府や大阪府市を厳しく追及。がれき焼却の問題点を「1キログラム当たり100ベクレルの基準値は不燃ごみのものであり、可燃ごみには設定されていない。可燃ごみと不燃ごみの基準値を意図的に混同してごまかそうとしている」などと指摘した。

また、5日のラジオ番組で下地氏は「がれき処理に関する環境省の検討会の議事録が隠されている。行政は東電原発事故で大量に拡散した放射性物質を閉じ込めて管理するという発想が基本的に欠けている」と述べた。

橋下市長は11月19日に大阪市内で街頭演説した際、がれき受け入れに反対する市民に向かって「いつからこんな勝手な国民が増えたのか」と反論。がれき受け入れに積極的だ。市内でがれき問題に取り組む女性は「橋下市長は子育て主婦の不安に聞く耳を持たなかった。市議会でも受け入れに慎重な議員が多いのに、市長だけが突っ走っている」と話す。

2ヵ月前の容疑での逮捕について、大阪府警の広報担当者は「一般論だが、捜査に時間がかかったのでは」と話す。一方、ネット上では「不当逮捕だ」との声が相次ぐほか、「思想弾圧」「口封じ」などという書き込みもある。(オルタナ編集部=斉藤円華)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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