ネオニコ問題解決へ助成企画公募、13年度も

ミツバチ大量死の原因物質ではないかと指摘され、人体への悪影響も懸念されているネオニコチノイド系農薬。一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(abt)では、ネオニコチノイド系物質の使用がもたらす影響を検証し、予防原則の立場から被害を防ぐ目的で、同農薬に関する調査や問題提起などを支援する助成プログラムを2012年度に引き続き13年度も行う。

助成プログラムに応募できるのはネオニコチノイド系農薬に関する調査研究や広報などの活動を行う個人やNGO、研究者らで、助成総額は800万円。4つの対象部門が設けられ、特に「調査研究」「広報・社会訴求」については250万円ずつ配分し、重点的に支援する。

ネオニコ系農薬の水田散布後に空となったニホンミツバチの巣箱=2011年11月、長崎県平戸で

12年度はネオニコ系農薬の空中散布にともなう人への健康被害に関する調査や、ネオニコチノイドをテーマにした映画の上映や絵本の制作など合計7企画に助成を実施した。

ネオニコ系農薬は浸透性や残効性が高く、有機リン系などの農薬よりも使用量が少なくて済む。そのため農家の高齢化や人手不足に悩む国内では過去10年間で使用量は3倍にも増えている。また、農薬をネオニコ系に切り替えることで「見かけ上」の農薬使用量が減り、「特別栽培農産物」「減農薬栽培」などと表記して作物を販売できる。

ところがネオニコ系農薬の散布後に不整脈や頭痛、嘔吐などの症状が現れたとの報告があるほか、人や昆虫の神経伝達系に作用するネオニコチノイドは子供の脳の発達に悪影響を及ぼす可能性がある、と指摘する脳神経学者もいる。

abtの星川淳理事長は「海外では『地球温暖化に匹敵する問題』と警鐘を鳴らす学者もおり、国内でも徐々にネオニコチノイド系農薬への関心が高まっている。現時点ではエビデンス(証拠)の立証を求める声が多く、助成を通じて市民レベルでの調査や問題意識の高い研究者の活動を支援したい」と話す。助成対象企画の応募締め切りは2月1日。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

アクト・ビヨンド・トラスト 2013年度助成プログラム

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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