その活動を知った大和リース森田俊作社長が約3年前に坂氏の事務所を訪ねたのが連携の発端。坂氏の途上国での経験と、同社の累計1万6000戸以上に及ぶ仮設住宅供給の経験が、今回のプロジェクトで融合した。

東日本大震災では、圧倒的な住宅需要と職人不足が浮き彫りになった。両者が開発した仮設住宅は、FRP(繊維強化プラスチック)でウレタンフォームなどの断熱材を挟んだ「FRPサンドイッチパネル」を屋根、壁、床のすべてに使う。

パネル生産に設備投資は必要なく手作業でも成形できるため、途上国で雇用を生み出せる。素材のガラスウールや樹脂なども、地域によっては現地で調達できる。家の躯体は、素人でも4人いれば1日で完成できるという。

まず土台と床を設置し、L字型の自立するパネルを四隅に立て、その上に屋根を乗せ、壁のパネルをFRP材でつないでビスで止める。住宅サイズはニーズに合わせてパネル数で調整する。

坂氏は「雨さえ防げないテントで暮らすルワンダの難民を見て建築家としての使命を感じた。衛生的で住み心地が良く簡単に立ち退きができる住宅づくりには、安く軽い資材が要る。今回の資材を途上国で作り、日本で36平方メートルの住宅を建てた場合、試算では1戸130万円程度で供給できる」と述べた。

森田社長は「途上国の住環境を改善しながら、万が一の時に活用できる生産ラインを海外に作り、災害大国である日本の備えにしたい。このシステムでは、役割を終えた仮設住宅の資材を、そのまま海外で使うこともできる。建築家と手をつなぎ、仮設住宅の新たな選択肢を形にできた」と語った。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

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