アンケートに回答した79社のうち、接続拒否を受けた事業者が20%(15件)、また制限を受けた事業者は37%(28件)に上った。事業を断念した理由のうち、「電力会社に系統接続を拒否された」という理由も25%に上ったという。この断念理由は、「土地が調達できなかった」(45%)に次いで最も多かった。
さらに、系統接続にかかわる工事費用と工期の妥当性に対する不満も寄せられている。ほとんどのケースでは工事を電力会社の関連企業が手掛け、工事費の内訳が不透明でも電力会社の言い値で対応せざるを得ないケースが多い。コストが高すぎて断念した事業者もいる。
電力会社側は、接続拒否や連系制限についての主な理由として、変電所の容量不足を挙げている。しかし、実際にどこまで系統に電力を入れることができるかという客観的データが示されないことを疑問視している関係者も多い。
事業者からの具体的な要望でも、「系統情報が少なく、事業計画が立てられない。国が主導して情報公開を進めるべき」というものや、「系統接続の工事負担金の内訳を示してほしい」など、電力会社の情報公開に関する姿勢を問う声が多く寄せられた。
監督官庁である資源エネルギー庁新エネルギー対策課の添田隆秀課長補佐は、記者の取材に対して「法令上、接続拒否というのはあくまで例外的なものなので、増加するのは好ましくない」と答えた。
「物理的な問題で仕方のないケースもあるが、説明が不十分だとの理由からトラブルになっているケースを聞く。電力会社には説明責任を果たすように指導している」(添田課長補佐)という。
自然エネルギー財団の真野秀太上席研究員は「発電事業者にとっては、系統接続が実態上の障害になっている。本当に系統に入れられないのかどうか、送電網へのアクセスを透明化していくことが必要だ」と総括する。
「不透明な工事費など、トータルのコストが上がってしまうと、最終的には消費者への賦課金に反映され、損をするのは消費者になる」。また、「自然エネルギーは買い取り価格がいくらになるかという点ばかり注目されるが、買い取り価格だけでなく、今後は系統接続問題をもうひとつの柱として変革しなければいけない」と主張している。
政府は2030年までに自然エネルギーを2010年比で3倍に増やす目標を掲げているが、従来のように電力会社が強い権限を振りかざし、多くのデータがブラックボックスになっているままでは実現しない。
今回問題になっている系統接続の義務化だけではなく、送配電網やコストの面も含めて、よりいっそうの公平化、透明化を進めていく必要があるだろう。(高橋真樹=ノンフィクションライター)