創発のマネジメントーオルタナティブの風

■オルタナティブの風(29)

教育や経営の世界では、しばしば、「管理か、自由か」という問題に直面するが、その難しさを象徴するのが、1990年代後半に注目された「創発のマネジメント」である。

これは、当時の最先端科学、「複雑系」の研究において注目された現象、外部からの管理や制御をしなくとも、自然に新たな秩序や構造が生まれてくる「創発」という現象を、教育や経営の現場においても生み出そうとする革新的なマネジメント手法のことである。

実際、当時は、この「創発のマネジメント」という言葉が一種の流行となり、多くの企業が、「社員を自由に活動させることによって、新たなアイデアや創造的なチームが生まれてくる」ことを期待し、この「創発のマネジメント」を試みたが、残念ながら、その多くが失敗するという結果となった。

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田坂 広志

田坂 広志

21世紀アカデメイア学長、多摩大学大学院名誉教授、田坂塾塾長。81年、東京大学大学院修了。工学博士。87年、米国パテル記念研究所研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。取締役を務める。00年、多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。08年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilメンバーに就任。11年東日本大震災に伴い内閣官房参与を務める。13年、全国から8300名の経営者やリーダーが集まり「7つの知性」を学ぶ場、「田坂塾」を開塾。著書は100冊余。

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