■オルタナティブの風(29)
教育や経営の世界では、しばしば、「管理か、自由か」という問題に直面するが、その難しさを象徴するのが、1990年代後半に注目された「創発のマネジメント」である。
これは、当時の最先端科学、「複雑系」の研究において注目された現象、外部からの管理や制御をしなくとも、自然に新たな秩序や構造が生まれてくる「創発」という現象を、教育や経営の現場においても生み出そうとする革新的なマネジメント手法のことである。
実際、当時は、この「創発のマネジメント」という言葉が一種の流行となり、多くの企業が、「社員を自由に活動させることによって、新たなアイデアや創造的なチームが生まれてくる」ことを期待し、この「創発のマネジメント」を試みたが、残念ながら、その多くが失敗するという結果となった。