一号機は町の助成金で設置した。さらに藤野電力としては基金を申請し、この地域のいくつかの拠点に2013年中に合計で6カ所に設置しようと計画している。行政ではなく、住民が主体でこうしたアイデアを実現していくことが、災害対策というだけではなく、持続可能な町づくりにもつながっている。
しかし小田嶋さんは、理念や意義よりも、まずはモノづくりの楽しさが先にあると言う。
「国のエネルギーをどうするかというレベルの議論では、ぼくらの充電ステーションなんて実にちっぽけなもの。でもぼくたちにとっては、こうしたモノ一つひとつを自分たちの力で作っていく事が喜びになる。そして工夫すれば、長い間みんなの役に立つものにすることができる。こういうことを通して、みんなが創造的になって享受し合えるコミュニティというのは、とても豊かなのだということを示していきたい」
藤野電力が大切にしているものは、電力を何ワット生み出したのかということよりも、どんなものを作って、どれだけみんなが面白いと思えることを実現できたかということにある。
小さなグループの中だけでエネルギー自給を進めるのではなく、外の人たちが結びつくようなきっかけづくりをどんどん進めていこうとしている藤野電力の、今後の活動が楽しみだ。(ノンフィクションライター=高橋真樹)
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