インタビュー:「対話」が企業を生かす―「法令順守」は誤訳

─どうすれば、企業はそういった姿勢に変わることができますか。

すなわち、企業本位の「自分視点」ではなく、社会からの視点で物事を考えることで、姿勢は必然的に変わります。本質に立ち返ると、企業の最終的な目的は、「社会の期待とは何か」ということをとらえ、行動することのはずです。

ルールは、その時々の社会の期待や価値観を規範化・文書化したものに過ぎません。そのルール自体が時には環境変化に適応できないことがあります。そうであれば、自ら率先して社会の期待をとらえ、行動に移す必要があります。それがCSRの本質なのかもしれません。

─一方で、CSRを「攻め」と「守り」に分けて、ルールと切り離す考え方もありますね。

それは大きな間違いです。法律を守ることがCSRとするのも間違いです。それらの間違いは、社会的責任のとら
え方と、ルールというものの性質の誤解、この両方に起因しています。「コンプライアンスとCSRを一緒にするな」という論者の決定的な間違いは、「法は万能」という前提に立っていることです。

法は社会の変化に応じて形を変える生き物です。社会の期待や価値観の変化を受け入れるという点では、コンプライアンスもCSRも本質は同じだと思います。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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