
通常のビニール傘は、部品の取り外しができないため、その形のまま捨てるのが一般的だ。だが、それでは燃えるゴミと燃えないゴミが混ざってしまう。そこで、株式会社エコー(大阪市)は、手元のプラスチック部分と生地のビニール部分、骨の金属部分の3素材に簡単に分解できるビニール傘「ECOORDI」(エコーディ)を開発した。(フリーライター・今一生)
日本洋傘振興協議会の推定によると、日本の洋傘の年間消費量は約1億3000万本。そのうち約9000万本がコンビニなどで売られているビニール傘だという。
洋傘と和装の羽織物であるショールの製造卸業として大正10年(1921年)に創業したエコーは、同社サイトでこう指摘する。
「年間約5000万本のビニール傘が、出荷から1年以内に廃棄されています。ビニール傘は、先端部分が接着剤で固定されているため廃棄時に分解することが困難で、骨組みが金属製のため、焼却処分にすることもできません。結局、ほとんどの廃棄ビニール傘は埋め立て処分にされているのです」
そこで同社は、「クオリティとエコロジー」をキーワードに、環境に配慮し、社会に貢献する企業を目指し、分解してゴミを減らすことを目標にした商品開発に取り組んできた。
そして、プラスチック部分、ビニール部分、金属部分の3素材を簡単に分解できるエコ傘「エコーディ」が誕生した。
生地やパーツの破損時にも別売りの部品で交換ができ、廃棄の際には燃えるゴミと燃えないゴミ(資源)に分別して捨てることができる。
また、破損していなくてもカバー、パーツの交換が自由にできるため、オリジナルや差別化、盗難防止など自分色に変えられる楽しみもある。
現在は、サークルKサンクスやスーパー、オンラインショップなどで、600円で販売している。
「エコーディは今年5月上旬から店頭発売を始め、まだ3カ月目ですが、追加注文が増えています。年間売り上げ目標200万本を目指したい」(エコー広報・岩橋亘さん)
同社サイトでは、パーツの取り外し方法や買い替え部分などについてイラストや動画で分かりやすく解説している。ゴミを出さない商品はある。それを選ぶかどうかは、消費者である私たちの選択だ。