それはともかく、ぼくは今の憲法は素晴らしいと思う。京都大学法学部教授だった高坂正尭さんもこう言われた。「田原ちゃん、あの憲法はしびれたね。言論表現の自由でしょ、国民に主権があるわけでしょ、で、結社の自由、宗教の自由もある。素晴らしいね」と。

でも、ぼくは今、護憲ではない。理由は、あの憲法ができたのは1946年2月だったからだ。内容は素晴らしいが、46年2月には自衛隊がなかった。当時、日本は本当に非武装だった。非武装で、日本を守るものが何もなく、アメリカ軍が守っているだけ。

だから、あの憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し、我が国の安全を保持せんと決意した」と書かれている。

この文があるのに、その後に自衛隊ができたので、この憲法は変えるべきだと思う。それから、現憲法は「非武装」が前提なので、自衛隊は厳密に言うと憲法違反だ。だから、自衛隊を無くすか、憲法を変えるか。ぼくは憲法を変えるべきだと思う。

ただし、憲法9条の1項は変えるべきではない。その代わり、自衛権を入れて、自衛隊を認めるべきだ。これがぼくの考え。護憲ではなく「改憲」だ。

■憲法9条1項を変えるなら、安倍首相を潰す

――集団的自衛権についてはどう考えていますか?

田原:「集団的自衛権」と観念的に言ってもよく分からない。もっと論争したほうがいい。第一、ドイツは集団的自衛権を認めている。NATOに参加しているからだ。フランスも。だから、集団的自衛権は悪とは思っていない。ただし、集団的自衛権とは何かと論争すべきだ。抽象的概念で賛否を問うてはいけない。

集団的自衛権といっても、仮にワシントンが攻撃されたとき、自衛隊はワシントンに行けるか? 行けっこないよね。

安倍晋三首相には「あなたがもし憲法9条の1項を変えるのなら、ぼくは大反対する。あなたを潰す」と直接、言った。彼もそこは変える気はないと言った。だから、安倍政権が右傾化しているとは思っていない。自衛隊は「専守防衛」だ。専守防衛という言葉がある限り、自衛隊は間違った方向には進まない。

※編集部注)日本国憲法第9条第1項: 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第2項: 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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