――いまの若者は政治についてどう考えていると思いますか。
田原:若者が右傾化しているとは思わない。すごい危機感を持ったら、むしろ共産党に入れるはずだ。国民も政府もそこまでバカではない。
――今回の参院選では、各世代とも投票率は下がりました。どうすれば、目の前のことばかりではなく、次世代のために考えられるようになりますか。
田原:景気をよくすることが次の世代のために第一だ。今回投票した人の99パーセントの関心が「景気」だっただろう。近年の若者たちは、長い不況のなかで、就職難に陥った。このままいくと年金ももらえない。社会保障をどうするのかが先決だ。憲法は先の先で良い。もし、国民が右傾化していたら自民党がここまでの議席を獲得できなかったはずだ。
ぼくはテレビ番組の仕事をしているから分かるが、国民はバカではない。ただ、マスコミは危ない。満州事変、日中戦争、太平洋戦争も、マスコミは後押ししていた。
――今はどういう点でマスコミの危機を感じますか。
田原:今はそこまで感じていない。けれど、麻生副総理の発言をしばらく報道しなかったテレビは危ない。
投票率が低いのは、国民の関心が景気と社会保障にしか向いていないから。自民党の景気対策に不満なら、野党に入れただろう。しかし、今は入れるべき野党がない。アベノミクスの対案を出すべきだったが、一つも出てなかった。
野党はだらしないし、無責任だ。しかし政治へ国民の関心が下がっているわけではない。対案があれば選択できる。対案や選択肢がなかったから、投票しなかっただけだ。