不謹慎な私——「エゴからエコへ」(田口ランディ)

■「エゴからエコへ」(76)

1980年代に生きている主人公が現代にタイムスリップするドラマを観た。懐かし過ぎる。ああ、そうそう、この粗野な感じ。罵詈雑言。差別用語オンパレード、これが80年代だった。確かに私はこの時代を生きてきた。ヤンキーがいた。積み木崩しがあった。競い合ってタバコを吸った。ディスコがあった。スマホもインターネットもなくて、駅の掲示板に伝言を書き込んだ。

そして思った。私は令和が嫌いだ、と。娘はZ世代である。似たような文化を享受しているが話がズレる。彼女は差別発言に敏感だ。ちょっとしたおじさん、おばさんの発言に目くじらを立てて不快を示す。

「彼氏できた~?」と聞かれただけでセクハラだと言うのだ。今や「結婚しないの」とか「そろそろ赤ちゃんが見たいわね」と言ってもセクハラらしい。昭和のオヤジ達と一緒に生きてきた私には考えられない。

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

taguchi_randy

田口 ランディ(作家)

作家 東京生まれ。 近刊は地下鉄サリン事件実行犯で昨年に死刑執行された林泰男との14年間の文通・交流をもとに描いた私小説「逆さに吊るされた男」(河出書房新社)

執筆記事一覧
キーワード: #サステナビリティ

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..