「共に踊ろう」(田口ランディ)

文化祭のラストと言えば、フォークダンス――と書くと今の若者は驚くだろうが、60―70年代の高校では常識だった。「マイム・マイム」を知っているなら、あなたは私と同世代。あのメロディーが流れるとつい踊りたくなる。

「マイム・マイム」はイスラエルの民俗的なダンス。この曲の歌詞はいたってシンプル。「泉だ、泉だ、喜べ、喜べ」と繰り返している。砂漠で水源を見つけ皆で喜ぶ踊りなのだ。

何でイスラエル人は泉を見つけて喜んでいたのか。それは、イスラエルとパレスチナの闘いの歴史と関係する。

1900年代初頭に帝政ロシアで大規模なユダヤ人虐殺が起こった。難を逃れた人たちがパレスチナに渡り、砂漠を開拓して自給自足の生活を始める。それがキブツ。みんなで働き、平等で、共同責任、機会均等という四原則のもと、共同体が生まれたのだ。なにしろ砂漠だから雨なんか降らない。水の確保は最重要課題。だから、水源を探してみんなで井戸を掘った。

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田口 ランディ(作家)

作家 東京生まれ。 近刊は地下鉄サリン事件実行犯で昨年に死刑執行された林泰男との14年間の文通・交流をもとに描いた私小説「逆さに吊るされた男」(河出書房新社)

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キーワード: #ビジネスと人権

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